第八十六話 見えない影に
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している。
「なら一つ仕事を頼まれてくれんかね?」
「当然、それが命令であれば受け入れるしかないので」
故に、彼は議長にとって非常に有意義な駒である。命令を受ければ従い、自己に対する主張は希薄であり、されど他者に対しては主張を促す。典型的な日和見主義者であると同時に、彼は破綻した人格者なのだ。
「なに、そう難しい事ではない――――司令部、私の機体の準備はどうか?」
その命令内容を話し、そしてすぐに通信機の回線を入れ、議長は自らが再度出撃する準備は整っているかを司令部に尋ねる。司令部の方も予想していたのか、すぐさま返答した。
『デュランダル議長、MSの方に関しては最終調整まで完了しております。いつでも発進は可能です。しかし、先程まで出撃したのですからもう少し休まれても……』
「心配なのはわかるが、私もそうそう簡単にやられはせん。戦況はどうなっている?」
議長のその発言は迂闊だと言っても良いが、これまでの戦果のせいで簡単に否定することも出来ない。議長があくまでザフトではなくプラントの人間であるというのも、止めることの出来ない理由に拍車をかけている。やむなしといった様子で司令部の人間は状況を報告することに、つまり軍務に忠実であるよう徹することにした。
『現在、敵勢力は大まかに分類して二つ。一つはザフトの反乱軍、もう一つはアークエンジェルの部隊を中心とした戦力です。ザフトの反乱軍に関してはミネルバとラー・カイラムを旗艦として戦力を二分し、メサイアへと接近中との事。その際、防衛の一角となるレウルーラ級が一隻撃沈されてしまいました』
「流石は我が軍の英雄と言った所か……艦隊を前に出すタイミングは見誤るな。ネオ・ジェネシスに味方が巻き込まれては元も子もないからな」
そういって通信を切った後、席を立って出撃の準備を整える。
「クラウ、出撃の用意をしたまえ。君の機体も問題はないのだろう?」
「大丈夫です。特に問題らしい問題はありませんよ」
そうしてクラウも出撃の為の準備を行う為に退室し、待ち構えていた拘束した責任者に議長に言われた内容を告げて格納庫へと向かう。その際に嫌味を言われたりもしたが彼は気にしない。そうして彼も再び出撃する事となる。
◇
ネオ達ガーティ・ルーの部隊は一度廃棄されたレクイエムに移動した後、ある機体を捜索し、嬉しい誤算が一つあったこと以外は特に問題もなくレクイエムを後にした。
手に入れたのはライゴウと同系列機であるストライクEだ。本来であればファントムペインのある地下施設に放置されている筈だったのだが、ブルーノ・アズラエルが自らの保身の為に少しでも戦力を、と考えて施設に移動させていたものだ。しかし、結局機体が使われる前にダイダロス基地を制圧され
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