フリーウェイ=ラバーズ
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何かのどかでね。あと羊が美味しかった」
「食べ物かよ」
「ああ、悪い?」
それに笑って返した。
「食べなきゃ死んじゃうんだよ。それを考えると当然じゃないか」
「それはそうだけれど」
「アメリカの食べ物はね。量が凄いね」
「あ、それは俺もそう思う」
それには同意した。
「最初見た時はびっくりしたよ。何でこんなに多いんだったね」
「オーストラリアも多かったけれど」
「そうなんだ」
「けれどアメリカのはそれよりも多いと思うよ。何かボリュームがね」
「日本じゃあそこまで食わないからな。俺も日本じゃ結構食べる方だったけれど」
「ケタが違うって言いたいんだね」
「ああ」
「まあ食べられるうちはいいよ」
彼女はここでこう言った。
「アメリカでも食べられるといいね、お互い」
「何か急にマジな話になったな」
「ふふふ」
ここで二人は上を見上げた。澄んだ濃い紫の空に様々な星が瞬いている。その中に一つ流れ星があった。
「あっ」
「おっ」
二人はそれを見て咄嗟に何かを祈った。星が消えた後で彼女は彼に声をかけた。
「ねえ」
「何」
「何を祈ったの?教えてよ」
「それは」
彼はそれを問われ少し口ごもった。
「ちょっとね、言えないよ」
「先に言うのは無理かな。じゃあ」
それを受けて彼女が話した。
「あたしはあんたのテキサスでの成功を祈ってあげたんだよ」
「本当!?」
「ああ、そうだよ」
そう言ってにこりと笑った。
「自分のことをお祈りしようと思ったんだけれどね、気が変わったよ」
「そうだったんだ」
「じゃあ今度はあんたの番だよ」
彼女はあらためて話を振ってきた。
「何をお祈りしたの?教えてよ」
「ああ」
彼はそれを受けて答えた。
「君のことさ」
「あたしの?」
「ああ。俺も自分のことをお祈りしようと思ったんだけどな」
「何だ、考えることは一緒だね」
「そうだよな。それでやったことも一緒なんだ」
「もしかしてあたしのことを?」
「その通り」
彼は答えた。
「お祈りさせてもらったよ。折角だからね」
「そうなんだ」
彼女はそれを受けて微笑んでから答えた。
「ありがとうね」
「いや、いいさ」
しかしそれで少しいい雰囲気になった。二人は身を寄せ合い口付けをした。その夜は甘い夜となった。
次の日も二人は道を進んだ。暫く進むと左右への分かれ道となっていた。右がヒューストン、左がニューオーリンズと書かれていた。
「どうやらここでお別れだね」
「そうみたいだな」
二人は左右に並んでそう話した。
「じゃああたしは左に」
「俺は右に
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