十二 落ちこぼれ
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も難儀だ。頬に感じるのは床の硬さと自身が吐いた生温い血。
それでも彼女は息も絶え絶えに口を開いた。
「オレは…火影に……こんな、ところで…」
「お前、本心じゃ火影になれるなんて思っても無いんだろ?強がってんじゃねえよ……火影ならな、この俺がなってやるよ!」
吐血した彼女を心苦しく見下ろしながらも、キバは言い放つ。彼は正直、早くナルに棄権してほしかった。だからわざと皮肉を告げたのだが、それは逆効果だった。
「オレと…火影の名を取り合ったら……」
【牙通牙】によって裂傷だらけの身をゆっくり起こす。
しっかりと地に足をつけたナルが口からぺっと血を吐き捨てた。
「お前、負け犬になんぞ」
そう笑った彼女の瞳は、爛々と輝いていた。
「あの女、なかなか言うじゃねえか」
「それに変化の術の使い方が上手いな」
観戦していた多由也と君麻呂が珍しく賛美する。眼下の試合ではナルが変化した事で、観戦者含む対戦相手の目を誤魔化していた。
彼女の試合が始まってからナルトは一度も声を発していない。彼はただ冷徹な眼差しでナルの動向を見守っていた。
隙を作りだすためにナルはキバに変化する。ナル同様キバに変化している赤丸がいるため、その場では三人のキバがお互いに睨み合っていた。だがチャクラを鼻に集中する事で嗅覚を通常の何万倍にも出来るキバにとって、自身に変化している偽物を割り出すのは造作も無い。
鋭い嗅覚で正確にキバに変化したナルを殴りつける。しかしながら、殴られた後彼女はすかさず赤丸に変化。故に赤丸に変化したナルを自身の相棒だとキバは勘違いする。動揺した彼は、キバに変化している赤丸自身をナルだと思い、殴り掛かってしまった。
キバに殴られ床に叩きつけられた赤丸は変化が解け、本来の姿に戻る。己の相棒を気絶させてしまった事に、ナルにまんまと騙されてしまった事に、キバは憤った。
再び【四脚の術】で四肢を強化し、高速移動で彼女に接近。一気に決めようと彼はナルの背後に回り込む。印を結ぼうと身構えたナルが慌てて後ろを振り返り…。
ドバチィ―――ン
「…ッ!?いって――――――ッ!!」
思いっきり金髪が目に突き刺さり、キバは思わず絶叫した。
金色に光る髪をツインテールに結っているナル。振り向き様に靡いた彼女の髪が、キバの顔面に直撃したのだ。髪も時として武器になる瞬間であった。
「あ、ごめん!!」
思わず謝るも、その隙を逃すナルではない。瞬時に影分身を四体創った彼女はキバを取り囲んだ。
大した衝撃ではないが完全な不意打ちだったため、キバは一瞬怯んでしまう。その一瞬が命取りであった。
逸早くナルの一人がキバを殴る。殴った彼女を踏み台にして、もう一人のナルが回転しなが
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