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渦巻く滄海 紅き空 【上】
十二 落ちこぼれ
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「だがやけに早急で勝負を決めたのはどういうことだ?」
何もかもお見通しであるナルトに感心しながら、君麻呂が尋ねる。ナルトに対する顔とは打って変わって仏頂面になった多由也がぼそっと呟いた。
「別に…単にあのデブが弱すぎただけだ」
(ナルトが褒めてたクソ野郎の同班の奴だったから…なんて言えるかよ)
心中で呟いた彼女の本音は、誰にも知られる事は無かった。





チョウジと多由也の試合があっという間に終わって拍子抜けする下忍達。だがこれで自分達の試合が近くなったと、未だ試合をしていない者達は神経を張り詰めた。

「――あと残るは、音忍一人に俺とナルとヒナタ…。ネジ・テンテン、それと砂の二人か…」
残った下忍達を指折り数えていたキバがちらりと向かいの観覧席を窺う。我愛羅と目が合って、彼は慌てて顔を背けた。
(音の君麻呂って奴が棄権したのは正直助かったけど、まだアイツが残ってる…)
目が合った瞬間に感じた恐怖が背筋をゾクゾクと駆け上る。まさかナルトと多由也の傍に控えている大人が君麻呂だとは思いもせず、頼むから我愛羅とだけは闘わせるなとキバは心中祈っていた。


電光掲示板に再び名前が無造作に表示される。ナルトの目が一際鋭く、選出された二名の名を捉えた。

―――『なみかぜナル』VS『いぬづかキバ』―――







やる気満々の両者が闘技場中央で対峙する。双方は互いに自信ありげな笑みを顔に浮かべていた。

ハヤテの試合合図が下される前に、キバはナルに宣戦布告の言葉を投げつける。
「悪いがナル!勝たせてもらうぜ!!」
「それはこっちの台詞だってばよ!!…っていうか、赤丸もやんの?」
キバの挑発に挑発で返したナルが、若干戸惑いながらキバの傍にいる赤丸を指差す。その言葉に対してハヤテがごほんっと咳払いした。
「動物や虫は忍具と同じ扱いです。何の問題もありません」
ハヤテの話を聞いて「そういやシノも奇壊蟲使ってたか…」と呟くも、彼女は納得のいかない顔で赤丸を見つめる。
「え〜…でも、赤丸と闘うのはちょっとな〜」
「俺はいいのかよ!?」
キバと会う度に赤丸とじゃれ合っているナルは、赤丸と闘うのは少々心苦しいようだ。同様に赤丸もナルによく懐いているため、くうんと鼻を鳴らしている。相棒である子犬からうるうるとした瞳で見上げられ、キバはグッと息を詰まらせた。
「わあったよ…。赤丸、お前は手を出すな。俺だけでやる」
赤丸を後方に下がらせたキバが一歩前に出る。観覧席からの女性群の声援が耳に入って彼は眉を顰めた。
「ナル――!!そんな奴に負けんじゃないわよ!!」
「キバなんかフルボッコにしちゃえ――――!!」
「ナルちゃん…あの、頑張って…」
サクラ・いのの気合いの入った声援に交え、キ
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