十二 落ちこぼれ
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達は目を瞬かせた。
「ど、どうなったんだってばよ…!?」
「おい、チョウジ!!」
困惑するナルの声に続いてシカマルが砂埃に向かって呼び掛ける。どれだけ目を凝らしても煙の中は全く見えない。それはチョウジの術の威力が凄まじかった事を意味しているが、彼が本当に無事なのかは確証が持てない。チョウジと同期である木ノ葉の忍び達は皆が皆、事の成り行きを見守るしか術は無かった。
反して立ち上る煙の中の人影を確実に視界に捉えていたナルトは、煙が徐々に晴れていくのと同時に静かに双眸を閉じた。
煙が晴れる。そこでは目を回しているチョウジが闘技場床でぶっ倒れていた。
「チョウジ!?」
いの・シカマルらが大声で呼び掛けるも、完全に気を失っているチョウジ。
それを確認したハヤテが多由也に視線を投げる。「勝者、多由也!!」という言葉に、さも当然と頷いた彼女は悠々と観覧席へ戻って行った。
今までの試合の中でも最短で決着をつけた多由也。彼女がどうやってチョウジを再起不能にしたのかそれすらも解らぬまま、観覧席の者達は呆然と第七回戦勝者を見送った。
「多由也。[超低周波音]を発したな」
多由也が戻って来た途端、未だ闘技場を俯瞰したままのナルトが口を開く。彼の一言に一瞬呆けた多由也がニッと笑みを浮かべた。
「…流石だな。バレたか」
「可聴周波数の範囲外である20Hz(ヘルツ)より低い超低周波音は音圧が高ければ高いほど圧迫感を引き起こす。また人には聞こえにくいという厄介なモノだ」
淡々と話すナルト。その言葉が全て的を射ているため、多由也は決まりが悪そうに視線を泳がせる。
第二試験時、ナルトに頼まれドス達を見張っていた多由也は、チョウジが[デブ]という言葉に異様に反応した事も勿論知っていた。だから彼女は試合開始直後、あえて[デブ]と言い放ったのだ。対戦相手を逆上させるために。
血が上り興奮した者は動作が安直的になる。現にチョウジは砂埃を撒き散らしながら一直線に向かって来た。タイミングを見計らい、隠し持っていた笛から超低周波を振動させる。この音波は直線上にしか当てられないのだが、チョウジは真正面から攻めてきた。だから多由也はいとも簡単に、超低周波をチョウジ目掛けて照射出来たのである。
音圧が高い低周波音は脳波のリズムを乱し、相手を麻痺させる。また高速で回転することによって通常より音が高く聞こえるチョウジは、空気中でも地中でも伝わる超低周波をまともに食らってしまう。つまり彼は自身の術で逆に自分の首を絞めてしまったのだ。
僅か1分足らずで勝利した多由也は傷一つついていない。対してチョウジは超低周波音の影響により耳鳴り・動悸・目眩そして胸の圧迫感が一気に押し寄せ、気絶した
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