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渦巻く滄海 紅き空 【上】
十一 策士
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ったシカマルは目を瞬かせた。

電光掲示板には『ならシカマル』VS『キン・ツチ』と表示されていた。









「あ〜あ、女が相手かよ…やりづれえな。メンドくせぇ」
「なら、すぐ終わらせてやるよ」

闘技場中央にて対峙した両者の態度は対照的であった。億劫そうにポケットに手を突っ込んでぼやくシカマルに対し、強気の発言を返すキン。
対戦者のやる気なさげな態度が気に食わないのかキンはひっそりと眉根を寄せる。一方、彼女とは面識があるシカマルは第二試験時の出来事を思い浮かべていた。

キンは、サクラを助けるために木ノ葉第十班が一度対立した音忍の一人である。そのため彼女以外の音忍達の術は見知っているが、紅一点であったこのキン・ツチというくノ一は力を発揮していない。反してシカマルの術は彼女に見られている。故に今の時点でシカマルはかなり不利な立場なのだ。


(―――――とは言え、)
「第六回戦『奈良シカマル』VS『キン・ツチ』………開始!!」
ハヤテの言葉をよそに、背後から響く声を耳にしたシカマルは口角を上げる。
ナルの「シカマル――!!頑張れ―――っ!!」の声援を希望通りに受け取った彼は、ハヤテの試合合図直後に印を結んだ。


(声援を送られたんじゃ、頑張るしかねえよな)







「忍法―――【影真似の術】!!」
自身の影を自在に操り相手の影と繋げる事で自身と同じ動きをさせる、奈良一族の秘伝術。
第二試験の時にこの術を目にしているキンはハッと鼻で笑った。
「馬鹿の一つ覚えか。そんな術、お前の影の動きさえ見てれば怖くないんだよ!!」
床を這う影をあっさり避けながら、何かを投げつけるキン。一瞬鈴の音が聞こえたシカマルは眉を顰めた。
咄嗟にしゃがみ込んだシカマルの背後の壁に、その何かが突き刺さる。
それは鈴がついた千本だった。

「へっ。古い手、使いやがって…お次は鈴のつけた千本とつけてない千本を同時に投げんだろ?鈴の音に反応してかわしたつもりでいたら、音の無い千本に気づかずグサリ…」
千本を見ただけで推理した彼に対し、キンは再び懐から千本を取り出す。
「お喋りな奴だ!!」
先ほど同様千本を次から次へと投げつけるキン。千本を軽く避け続けるシカマルの耳朶を透き通った鈴の音が打った。

だしぬけに聞こえてきた鈴の音に慌てて後ろを振り返る。彼の目に、壁に突き刺さる千本が映った。風が吹いているわけでもないのに小刻みに動く鈴を見て、シカマルは瞬時に把握する。

(……糸!?)

千本についている鈴には更に糸が繋がっている。相手の狙いを察した彼が急ぎ身構えるが、その時には既にキンは千本を投げていた。
咄嗟の判断により致命傷を外したシカマルが腕に突き刺さった千本を投げ捨てる
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