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渦巻く滄海 紅き空 【上】
十一 策士
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湛えながら脈絡のない答えを返すナルト。そのどこか透明感のある美しい笑顔を目にして、君麻呂と多由也は思わず息を呑んだ。
暫し見惚れていた多由也がはっと我に返る。若干頬を染めたまま慌てて目を逸らした彼女に、ナルトは首を傾げた。
「…ナルト様がそう仰るなら…」
はぐらかされたと知っていながらもあえて指摘せず、君麻呂はナルトに会釈してみせる。担当上忍に変化している君麻呂に頭を上げるよう促しながら、ナルトは流し目で砂忍達のほうを見遣った。

そこでは血気に逸る我愛羅を、必死で宥めるテマリとカンクロウの姿があった。








一方向かいの観覧席では、奈良シカマルが手摺に頬杖をつきながらぼんやり天井を仰いでいた。
(…女ってこえ〜な。さっきのミスミとかいう奴、可哀想に…)
竜巻の中でミスミがズタズタに切り裂かれるのを目の当たりにしていた彼はぶるりと身を震わせた。闘技場から視線を外せば、今度はやけに元気ないのが目にとまり、シカマルは人知れず嘆息を漏らす。
(いのはいので、さっきまでサクラといがみ合ってたのに急に元気だし…。女ってわかんね〜)
メンドくせ…ともはや口癖になっている文句を呟く。だが視界に波風ナルの姿を映すと、彼は口元に微笑を湛えた。

(ま、コイツは単純だからわかりやすいけど)
自分の試合をまだかまだかとそわそわしている彼女の一挙一動を、無意識に目で追うシカマル。表情豊かなナルの様子を見て彼はくくっと喉奥を鳴らして笑った。
(…けど俺の試合になったらコイツちゃんと俺を応援してくれんのかね?)
電光掲示板を見ようと観覧席から身を乗り出すナル。それに、危ねえだろと彼女の頭を軽く叩き、そのままふわふわしたたんぽぽ頭をわしゃわしゃ撫でながら、シカマルはあれこれ思い巡らしていた。
(同じ木ノ葉の同期同士の試合になったら、いのとサクラの時みてえにどっちも応援するんだろ〜な)
けどやっぱ声援を貰うんだったら俺ひとりがいいんだけど、と内心本音を呟いていたシカマルの耳に、ナルの「痛いってばよ、シカマル!!」という言葉が入ってくる。


はっとして彼は慌てて彼女の頭から手を放した。
火照る頬を誤魔化しながら悪いと謝れば、若干口を尖らせたナルはちゃんと掲示板見ろよな、と再び観覧席から身を乗り出す。全く動じていない彼女の態度を少々残念に思いながら、シカマルは片手で口元を押さえた。
(…やっべ。思い切り無意識だった)
無自覚でナルの頭を撫でていた事を今更になって照れるシカマル。そんな教え子に向かって、彼の担当上忍たる猿飛アスマがにやにやしながら声を掛ける。

「青春するのもいいけどよ、シカマル。お前の番だ」

そう揶揄しながら、くいっと親指で掲示板を指差すアスマ。からかわれたことに眉を顰めながらも、彼の指の先を追
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