十一 策士
[2/7]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
った身体をチャクラで自在に操れるのさ」
自分からスパイをやっていますと暴露するようなミスミの物言いに、心底呆れ返る多由也と君麻呂。カブト同様音隠れの隠密たるミスミが得意げに自身の特技を話すのを、彼らは冷やかに見下ろしていた。
「ハッ!じゃあそのグニャグニャの身体、今すぐ切り刻んでやるよ!……忍法――――【カマイタチ】!!」
高らかにそう叫んだテマリが扇を大きく振るう。刹那、先ほどとは比べものにならない暴風がミスミに襲い掛かった。
荒れ狂う風は真空状態を作り出し、風に囚われたミスミは身動きがとれない。更に風は彼の身体をズタズタに切り裂いていく。いくら伸縮自在の身体といってもチャクラが練り込まれた竜巻からは逃れる術がない。
「……………ッッ!!!!」
声すら出せず、ひたすら風の刃をその身に刻まれたミスミ。それをテマリはつまらなさそうに見上げるとぱたんっと扇を閉じた。するとあれだけ吹き荒れていた風が一瞬で掻き消える。
突風により闘技場天井まで巻き上げられたミスミは突然風が止んだことで落下した。テマリは折り畳んだ扇を試合当初と同じくとんと闘技場床に置く。直後、扇の骨部分の上にミスミがガンッと落ちてきた。
落下の衝撃により口から血を吐いたミスミに向かって、テマリは吐き捨てるように言い放った。
「私はイカやタコが大っ嫌いなんだよ!!」
どうやらミスミの伸縮自在の四肢は、彼女の嫌いな食べ物を思い浮かばせたようだ。毛嫌いしている食べ物はその姿を見るだけで嫌という者もいる。タコやイカといった軟体動物を彷彿させるミスミの身体を視界に入れたくなかったのだろう。
「第五回戦――勝者、テマリ!!」
扇の上で気を失っているミスミを確認したハヤテが声を上げる。自身の名が宣言されると同時に、テマリはそのまま扇を振り落とした。
既に意識のないミスミを闘技場床に叩きつけた彼女は、ふんと鼻を鳴らして観覧席へ悠々と向かう。その様子を木ノ葉の忍び達は恐々と見送っていたが、反して多由也達は感嘆の声を上げていた。
「さっきのお遊びの範疇だった試合よりはマシだったな」
「風影の子どもだからな。当然だろう」
ちらっとテマリを横目で見た多由也と君麻呂は、明らかにこちらを睨んでいる我愛羅に気づくとすぐさま顔を背けた。
「おい、ナルト。あの瓢箪野郎、すっげ〜目でお前を見てるぞ」
「ナルト様。やはりあの砂の我愛羅は危険な存在です。わざわざ興味を引かせてどうなさるおつもりです?」
懸念の色を孕む四つの瞳。視線の先にいるナルトは静かに闘技場中央を俯瞰している。かろうじて息があるミスミが担架で運ばれていくのを静観していた彼は、二人の視線に気づくと笑みを浮かべた。
「…問題無い」
微笑を
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ