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渦巻く滄海 紅き空 【上】
十 先見の明
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試合を無関心な態度で俯瞰していた多由也がぼそっと呟いた。
「彼の存在理由は大蛇丸様の期待に応える事だからね。でもどうやったらあんな自信家になれるんだか…。僕には理解出来ない」
同じく観戦していた君麻呂が呆れたように頭を振る。彼は強くなるのに常に努力を怠らない。ナルトに比べたら自分などまだまだだと日々精進している。だから君麻呂はどうしたらあそこまで自分の力を過信できるのかと呆れ半分でザクを眺めていた。
尤も彼自身もナルトの期待に応えるのが至上の喜びなので人のことは言えないが。



一方のナルトは試合よりも波風ナルの背後――畑カカシを注視していた。カカシが観覧席に戻って来たという事はサスケの呪印を封印し終えたという事だ。カカシからどことなくぎこちなさを察したナルトは、やはり大蛇丸と接触したなと確信すると共に自身の行動を顧みる。




ナルトには中忍第三試験の予選を実施させる必要があった。
だが予選が実施されるにはなるべく多人数を第二試験で残さないといけない。そこでナルトは『天地』の巻物を白と再不斬に多く集めてもらい、それらを木ノ葉忍びに与えたのだ。勝ち進んでもらい、予選せざるを得ない人数にするためである。

そして君麻呂に我愛羅の後をつかせたのは、まず君麻呂に興味を持たせ、後で自分にその興味を移行させるのが目的であった。君麻呂を辞退させるのは当初から考えていたので、辞退する際にナルトを「強い」とさりげなく伝えさせる。後は我愛羅の前で圧倒的な試合をしてみせるだけであった。

次に自分の予選試合がサスケの後に来るよう事前に細工を施しておいた。
呪印を施されているサスケが一度試合をすれば必ず呪印封印のために畑カカシが控室奥へ連れて行くだろうと読んでいた。加えて大蛇丸がカカシに釘を刺す事もナルトは推測していた。
また、カカシやサスケがいれば写輪眼で自身の技のカラクリがバレる可能性があったし、大蛇丸に再び器にと目をつけられる危惧もあった。故に彼ら三人がいない時―――サスケの次試合を狙ったのである。だからこそ我愛羅が興味を持つような試合が出来たのだ。



(今までは想定内だった。だが何事も計略通りにいくとは限らないしな…)
思慮深い彼は物憂げにひとつ息を吐いた。そして開目すると、意識を眼下の試合に向ける。
ザクはつい今しがた対戦相手のシノに向かって【斬空波】を放ったところであった。








試合開始早々、シノ目掛けて【斬空波】を放つザク。【斬空波】の衝撃波を食らい、倒れ伏すシノだが彼はすぐに立ち上がった。
彼の頬からその皮膚を突き破って虫が後から後から湧いてくる。気味悪そうに顔を顰めたザクは、背後から聞こえる微かな音に振り向いてギョッとした。そこには何か黒いモノが波打っている。ざわざわと小刻
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