Development
第二十七話 危機
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ない、砕けた感じの嬢様口調で僕は答える。
最初はただ元気な子だな、という印象しかなかったけれど良く見ているものだと思う。それにこの本音さんと似ているようでタイプの違う人懐っこさみたいなものも彼女の魅力なのだろう。
僕らはそのまま食堂に向かい、まだ夕食には早い時間ということもあってそれぞれ飲み物だけを買ってテーブルにつく。時間が時間だけに周りに人は少ない。
「そういえば、よく部屋が空いてたわね? 寮の空き部屋が無いって聞いていたのだけれど」
僕は疑問に思っていたことを聞いてみる。そもそも、織斑君と箒さんが同部屋になったのはいろいろな思惑があるにしろ空き部屋がないというのが大義名分だったはず。なのに、あとから転入してきた鈴さんが普通に入寮できるとはどういうことだろうか。
「あぁ、あたしの場合は本来入学予定だった人の枠を無理やり奪ったから。そもそも、最初はあたしに入学要請が来てたんだけど断ってたの。で、他の子に決まったんだけど気が変わったから強引に、ね。遅れたのは手続きやらに時間がかかったから」
なんとも無茶をする子だ……。国家を個人の我儘で振り回すあたり、彼女はよほどキーパーソンなんだろう。彼女に会った段階では気付かなかったけど、彼女は中国の代表候補生で専用機持ちらしいし。
「なるほど、でも何故急に入学する気に?」
「……えっと、言わなきゃだめ?」
先ほどまで話していた暴虐ぶりとは裏腹に急にしおらしくなった。
何故かちょっとからかいたくなってしまう。
「なるほど、織斑君に会いにきたのね」
「なんで知ってるのよ!?」
「……冗談のつもりだったのだけれど」
「あ〜……うぅ」
いや、さすがにそこまでは本当に知らなかったし恨めし気な目で見られても……。
でも、織斑君が目当て? 確かに各国各企業が織斑君のデータ目当てに生徒を送り込んでる節もあるけど、まさか彼女も?
そこまで考えて僕はその考えを打ち消す。確かに、中国としてはそういう意図はあったかもしれないけど、彼女がそんなことで来ているとは思えなかったし思いたくなかった。
だって、目の前で明らかにバツが悪そうに真っ赤になってるし。
「はぁ……幼馴染なのよ」
ようやく観念したのか、ポツリポツリと事情を話しだす鈴さん。
中学時代の織斑君の話をしている時などは本当に嬉しそうにしており、その感情がただの幼馴染で収まらないことが伝わってくる。
「……この際だから聞いちゃうけど紫音さんは一夏のことどう思ってるの?」
恐る恐るといった様子で聞いてくる鈴さん。何をそんなに警戒しているのかいまいちわからず、僕はそのまま思っていたことを答えてしまった。
「いろいろ気になってるわね。できれば一度ゆっくりお話しして仲良
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