Development
第二十七話 危機
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「去年も俺らと同じようにクラス代表を決めるために西園寺さんと今の会長が戦ったらしいんだ。その戦いが凄すぎて他のクラスからクレームがあったらしいよ。実際は西園寺さんは会長には負けたらしいけど互角の戦いだったって」
「そ、そう……」
次から次へと出てくる情報に、鈴の中での紫音という少女のイメージがよくわからないものになっていた。現会長がロシア代表だというのは、他国に興味がない鈴でもさすがに知っていた。それと互角に戦うというのだから相当なものだ。
自分は勝てるのか……という不安と先ほどセシリアを挑発するダシに使ってしまったことに若干の罪悪感を覚える。別に鈴は紫音に対して悪いイメージは持っていないのだ。
「ようやく理解したようですわね」
「……だからってアンタが強いかとは別問題でしょ?」
「ぐっ」
もはや誰と誰が争っているのかよくわからない状況ではあるが、この場ではセシリアと鈴が代表戦で決闘紛いのことをするということが決まるにとどまった。
しかし箒は度々囚われる無力感をこの場にでも感じるに至り、自身の力量に対する劣等感や専用機への羨望を強めてしまう。
一方の一夏は、ようやくこの状況が解放されることに安堵して彼女らの心の機微までは察することができず、そのことが後々さらに混沌とした状況に彼を追いやることになる。
昼休みの出来事が頭から離れず、モヤモヤとした時間を過ごし授業に身が入らなかった鈴だが、さすがに出席簿による制裁をするような教師がそうそういる訳ではなく無事一日を終了した。
本当ならば、彼女も一夏ともっと話したいのだがクラスが違うこととセシリアと決闘するということがすぐに話題になってしまい彼のクラスに近寄りにくくなってしまっていた。
また、一夏の幼馴染ということも一部の女子生徒からみれば面白くないようで視線が厳しい。しかし、少数ではあるが一夏と彼らの周りにいる女生徒との修羅場を期待するような目で見るものもいたりするから手に負えない。紫苑とは違う意味で彼女も浮いた存在となってしまった。
放課後、この日は初日ということもあり学園内をブラブラして過ごし夕飯に行こうというところで見知った後姿を見つける。その目立つ髪色は背後からでも間違えようがない。
「あ、紫音……さん」
もう一度話をしようと思っていた矢先の偶然、逃す理由はないと思わず声をかけるも昼間聞いたことを思い出し敬称を言い加える。
「はい?」
朝と同様に、こちらに振り返る。いちいちこういった仕草が魅力的に見えるのが鈴からすれば不思議だ。
「あぁ、鈴さん。こんにちは」
鈴の姿を確認して表情が柔らかくなったものの、しかしすぐに曇ってしまった。
「その様子だと……私のことはもう誰かに聞いたみたいで
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