暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのはANSUR〜CrossfirE〜
傲慢の先にあったモノ 〜Lucifer〜
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「そうだろう、ヴィヴィオ?」

『っ・・・悲しい・・・のも、痛いのも・・・全部作りものの偽物・・・。わたしは・・・この世界にいちゃ・・・ダメな子・・・なんだ・・・!』

「「っ!」」

ヴィヴィオの涙声の念話。でも今までのものと全然違う。言葉に籠められた感情が、救いを求めるものから自分の否定になっていた。

「「違う!」」

ルシル君の声と重なる。お互いを見合わして、バエルに再び視線を移す。

『違わない! もう・・・もういいの。なのはさん、ルシルさん。もう全部わかったの。2人は、フェイトさんも、本当の親じゃないって。わたしは兵器・・・なんだ。ゆりかごを動かすためだけの鍵・・・』

「そんなことはない! ヴィヴィオ、そうじゃない!」

「そうだよヴィヴィオ! そんなの違う!!」

『そうなんだよ! わたしは、この世界にいない方がいいんだ・・・! わたしがいたら、なのはさんやルシルさん、フェイトさんに、みんな。今すごく迷惑かけてる! わたしがいるからこの船が動いてる! だからわたしなんて・・・いなくなればいいんだ!』

ダメ。これ以上言わせたらヴィヴィオは本当にいなくなっちゃう。自分を否定するだけの言葉。それがどれほど自分を壊していくか。それをどうにか止めようとして口を開こうとした時、パンッって音が響く。

『「っ!?」』

「ルシル君・・・?」

それはルシル君がヴィヴィオの頬に平手打ちした音だった。ルシル君は真っ直ぐヴィヴィオの涙の溢れる目を見ている。そんなルシル君の目に宿るのは、怒りの色。その突然の行動に私はおろか、バエルすらも目を点にしている。

「要らない? 居なくなればいい? 怒るぞ、それ以上馬鹿を言えば。私は――もちろんなのはもそう思ってはいない。それだけは絶対に、だ。それは今までヴィヴィオと過ごしてきたみんなもきっと同じだ・・・」

ヴィヴィオの頬を叩いた右手を強く握って、辛そうにルシル君がそう言った。

「そうだよ。たとえ生まれ方が違っても、そうやって泣いてるヴィヴィオは作り物なんかじゃないんだよ。すぐ泣いちゃうのも、甘えんぼなのも、他にもたくさんのもの、全部を合わせてヴィヴィオなんだから。ヴィヴィオは、私にとってもういなくちゃダメなほど大切で大事で、大好きな娘なんだよ』

偽物だなんてことはないんだ。生まれ方なんて関係ない。ヴィヴィオがヴィヴィオであることに変わりないんだから。

「やめろ・・・やめ・・・っ!?」

「邪魔するなよ。クズが」

ルシル君がヴィヴィオの口を押さえて、バエルが喋れないようにした。

「確かに私は本当のママじゃない。でもこれからはヴィヴィオのママだって胸を張れるような、ママになって見せるから。だから、いちゃいけないなんて哀しい
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