暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのはANSUR〜CrossfirE〜
傲慢の先にあったモノ 〜Lucifer〜
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いた。

「ヴィヴィオ! 少しだけ我慢して!」

バエルの姿をしたルシリオンに向けて、なのはが“レイジングハート”を構える。

「フフ、大事な友達とやらに撃たれるがいい、欠陥品」

「っ!! バエルぅぅーーーッ!」

耳元で囁かれたその言葉に、無理やり口を塞いでいる手から逃れてルシリオンは吼えた。

「エクセリオン・・・バスタァァァーーーーッ!」

なのはから砲撃が放たれた。射線上にはルシリオンとバエル。バエルはすでに“聖王の鎧”で防御準備を終えているが、ルシリオンは阻害によって魔術が使えなくなっているため、防御することが出来ない状態だった。
元許されざる傲慢たるルシファーの能力であり、現許されざる支配にして天秤崩す者バエルの能力・阻害。それがルシリオンの魔術発動の妨害をしていた。そのために魔法の念話すら妨害され、なのはに伝えることが出来ないでいた。

「決まった・・・!?」

なのはの砲撃がルシリオンに直撃した。桜色の閃光が爆ぜる。ヴィヴィオの体を気遣っての一撃にも関わらず、ルシリオンの意識を飛ばした。唯一の救いは戦闘甲冑までキャンセルされなかったことだ。戦闘甲冑までキャンセルされていたら、ルシリオンは気絶程度では済まなかった。次第に煙が晴れていき、そしてなのはは見た。床に倒れ伏している傷ついたルシリオンと、未だ健在なバエルを。

「・・・え? なん・・・で・・・ルシル君・・・?」

なのはの掠れた疑問の声。床に降り立って、ルシリオンへと駆け寄る。

「ルシル君!? ルシル君!? しっかりしてルシル君!!」

『・・・パ・・・パ・・・や・・・やだ・・・』

なのはの悲鳴とヴィヴィオの涙声が、バエルに笑みを浮かばせた。

「ハッ、ハハ、アハハハハハハ! ハァー、いい様だ!」

バエルが高らかに笑い声を発し続ける。そして他の幻影も同時に消滅していった。それを見たなのははようやく理解した。自分の砲撃がルシリオンを撃ったことを。

「っ、ルシル君!」

「さて、高町なのは。お前には用はない。大人しく退くか、それともここで死ぬか、好きな方を選べ」

「っ!」

ルシリオンを抱え、バエルを睨みつけるなのは。たとえ睨んでいる相手がヴィヴィオの体と顔だとしても、睨むことはやめれなかった。それほどまでになのはのバエルへの怒りは頂点に達していた。ヴィヴィオの体を乗っ取り、幻術を使って親友のルシリオンに攻撃させた。その上倒れたルシリオンを見て大笑い。バエルの笑い声を聞いて、なのはは自分の中に確かな怒りを感じた。

『マ・・・マ・・・にげ・・・て・・・』

「ヴィヴィオ!」

「くっ・・・ヴィヴィ・・・オを置いて・・・逃げる・・・?」

「ルシル君!」

「・・・そうでないとな」
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