第二章 [ 神 鳴 ]
二十九話 慟哭
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顔痣だらけじゃない!本当に何があったの!」
自分ではよく分からないけど顔はまだ酷い事になっているみたいだな。紫が騒いでいたからか廊下の方から誰かが走ってくる音が聞こえてきた。そして襖が勢い良く開かれる。
「私の紫ちゃんの悲鳴が聞こえたですー!無事ですか私の紫ちゃっブッ!!」
襖を開き叫び声を上げる早希の顔面目掛けて紫が枕を投げつけた。
「誰が“あんた”のよ!ちょっと優しくしたら図に乗るんだから!」
そんなに怒る事でもないだろうに。僕がそんな事を思っていたら部屋の状況を見た早希が再び叫び出した。
「虚空様が紫ちゃんと諏訪子様を毒牙にかけているですー!!外道ですー!下劣ですー!最低ですー!人間の屑ですー!略すと幼女趣味ですー!!」
「「「 どんな風に略せばその言葉に行き着いた!!! 」」」
早希のボケに僕達は声を揃えてツッコんだ。そんな風に騒いでいるとルーミアが現れる。
「……朝っぱらから何くだらない事で騒いでいるのよ、まったく」
そしてルーミアの後ろからもう一人現れた。
「……ここは朝から騒がしいね。何時もこんなんなのかい?」
一瞬だけ全員の表情に影がさした。“今迄”通りならここで現れたのは楓だった。でももう彼女は居ないのだ、“此れから”はこれが日常として流れるのだから。
僕の隣りに居た諏訪子が徐に立ち上がり廊下の方へ歩いていく。そして神奈子の隣りを通り過ぎると勢いよく神奈子の尻を叩き、静寂に包まれていた部屋の中にその音が響き渡った。
「イッタ!何するんだい!!」
怒りを露にする神奈子に対し諏訪子はあっかんベーをしながら、
「ふんっだ!馬神奈子!!」
と捨て台詞を吐き走り去ってしまう。その状況に残された全員が唖然とするが諏訪子のあの行動が新しい日常の開始だと気付くと自然と笑みが零れた。
僕はその状況に戸惑っている神奈子に声をかける。
「諏訪子なりのよろしく、って所かな?じゃぁ改めてこれからよろしく神奈子。あぁそうそう僕の事は虚空って呼ぶようにしてね、苗字の方じゃ他人行儀だし。あと諏訪子の事も」
「……そうだね、わかったよ。これからよろしく虚空、あんた達もね。それじゃあたしはあのアホ諏訪子を追いかけるとしようかね」
神奈子はそう言うと微笑みながら諏訪子の後を追っていった。
そしてこの瞬間が僕達の新しい生活の始まりになる。
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