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東方虚空伝
第二章   [ 神 鳴 ]
二十九話 慟哭
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けて最低だ!って言いなさいよ!……何か言ってよ……」

 諏訪子は手で顔を覆い僕に跨ったまま泣き崩れてしまう。あぁもしかしてこの子は忘れているんだろうか。

「……痛たた…諏訪子もしかして約束忘れたの?ひどいなー」

 僕は痛みを我慢しながら上体を起こし諏訪子の髪を撫でながらそう言った。

「?……約束?」

 覆っていた手を顔から離しながら諏訪子は何の事を言っているのか分からない、という表情をする。その時月を隠していた雲が去り再び地上を月の光が照らし出し僕達ははっきりと互いの表情を確認する。

「あの時言ったじゃないか『国の事で辛い事や嫌な事があれば今みたいに僕に当たればいい』って。だから諏訪子が僕に理不尽な事を言ったとしても何の問題も無いんだよ」

 ハハハ、と笑いながら諏訪子に言い聞かせた。それに、

「楓の事は間違いなく僕の落ち度だから責められても文句なんて無いしね。……楓も諏訪の国も守れなくてごめん」

 どんなに罵倒されてもいい、けどこの言葉だけはきちんと諏訪子に伝えないといけない。

「……虚空あんた馬鹿だよ、何だかんだであたしが背負わないといけないもの全部背負ってさ…こんなに罵倒されて…なんの得にもならないのに……どうして?」

「うーん、どうしてか。何となくだよ?違うかうーん、まぁ単純な理由で好きだからじゃないかな。ほら好きな子の前では男は格好つけたがるしね」

 冗談っぽくそう言うと諏訪子は呆気に取られたみたいな顔をした後笑い出した。

「…ア……ハ、アハハハハ!なにそれもしかしてあたし口説かれてるの、ハハハハ!……虚空ごめんね…ありがと」

 諏訪子はそう言うと僕の首に抱きついて声を押し殺しながら泣いていた。そんな僕達を月の光が優しく照らしゆっくりと夜が更けていく。




■   □   ■   □   ■   □   ■   □   ■





「どういう事これ!!」

 紫の大声で僕は目を覚ました。ゆっくりと上体を起こす。

「ん〜紫おはよう。で、どうしたんだい?」

「どうもこうも……どうしてまた此処に諏訪子がいるの!!」

 紫の指差した先つまり僕の隣には諏訪子がいた。指を指された諏訪子は少し頬を赤く染めながら「えへへッ」と笑う。

「なんか前と反応が違う!どういう事お父様!」

 諏訪子の反応をみて紫が凄い剣幕で詰め寄ってきた。

「えーと昨日の夜、諏訪子が激しくてまともに歩けなくなったんだよ、だからここまで連れて来てもらってそのまま寝たんだ。いやーまいったよ足腰立たなくなるんだもん」

アハハハハ、と笑う僕を紫が半眼で睨みつけてくる。

「……お父様、ワザと誤解させる様な言い回ししてるでしょう!ってよく見たら
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