第二章 [ 神 鳴 ]
二十九話 慟哭
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手紙をルーミアに頼んで諏訪子の部屋に届けてもらった。
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天壌の月が流れてきた雲に隠れ暗闇が訪れる。ここは大社の裏にある森の広場、諏訪子と腕試しをしたのが随分と昔の様な気がする。そんなに前でもないのに不思議だな。長く生きているせいで感覚がちょっとおかしくなっているのかも。そんな事を考えていた僕の背後に気配が現れためゆっくりと振り返える。
そこには普段の服装で帽子を被っていない諏訪子が気だるげに立っていた。目に力は無く、明るく笑っていた面影も無い。
「こんな手紙で呼び出して一体何の用?」
諏訪子は僕が書いた手紙をヒラヒラと振りながらそう問いかけてくる。
「いやー諏訪子と話がしたいなと思って――――というか諏訪子の方が僕に話があるんじゃないかなって思ってね」
何時も通りヘラヘラ笑いながらそう言う僕の言葉を聞いた諏訪子は顔を俯かせながら、
「……そうだね、確かに言いたい事があるよ。……じゃぁさ歯を食いしばってあたしの話を聞いてくれるかな?」
諏訪子は顔を伏せたままそう問いかけてきた。
「うんいいよ、それ―――ッ!?」
僕が返事をしようとした瞬間左頬に鈍い痛みと衝撃が奔った。そのあまりの威力に僕は五、六メートル程吹飛ばされ仰向けで地面を擦りながら倒れた所に飛んできた諏訪子に馬乗りされる。
そして諏訪子は倒れている僕の顔面に向け左右の拳を鉄槌の如く振り下ろした。弾幕の様に間断無く振るわれる拳の威力で意識が飛びそうになるが気合でそれを防ぐ。諏訪子は拳を振るいながら怨嗟を吐き出した。
「この裏切り者!!裏切り者!!裏切り者!!裏切り者!!あんたのせいだ!!あんたのせいだ!!あんたのせいだ!!あんたのせいだ!!全部あんたのせいだ!!!!あんたが全部悪いんだ!!!大和が攻めて来たのも!!!全部あんたが原因だ!!!!返せ!!返せ!!返せ!!返せ!!返せ!!返してよ!!楓を!!あたしの国を!!!返しなさいよ!!!」
諏訪子はその瞳をドス黒く染め拳の弾幕を打ち続ける。客観的に聞けば諏訪子の言ってる事は間違いだらけだろう。一番の原因である大和の侵攻は間違い無く虚空の責任にはならない。ここまできたら只の子供の癇癪であろう。
どれ位の時間がたったのか自分では分からないけど何とか意識を保っている。でも流石に限界を感じていた僕の顔に不意に水滴が堕ちてきた。雨でも降ってきたのか?なんて暢気に考えた僕は諏訪子の攻撃が止まっている事に漸く気付く。正面に視線を向けると琥珀色の瞳をした諏訪子がボロボロと涙を流していた。
「……何で…何で何も言わないのよ!おかしいでしょ!理不尽でしょ!身勝手でしょ!虚空だって辛い筈なのに!一方的に責任押し付
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