第二章 [ 神 鳴 ]
二十九話 慟哭
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、何を言ってるですー、私は楓様が居なくなって清々してるんですー。知らなかったんですか私楓様が大嫌いだったんですよー。……そう…大嫌い…だったんですー…」
早希はそう言いながら頭を抱えてしゃがみ込んでしまった。まるで自分に言い聞かせるようにブツブツと『大嫌い』の呟きを繰り返しながら。
僕もルーミアも事情を知らない神奈子も声をかけることが出来ずに只見守る事しか出来なかった。そんな中紫が早希に近付きしゃがみ込んでいた早希の頭を優しく抱擁する。
「紫ちゃん?」
抱擁された早希はどうすればいいのか分からないらしく混乱していた。それはそうだろう普段邪険にされていたのだから。紫は早希の頭を撫でながら、
「……今日だけだから」
一言そう言った。たったそれだけ、でも早希には意味は十分伝わったようだ。無理はしなくていいと、自分に甘えろ、と恐らく紫が早希に対して見せた初めての優しさ。その優しさに早希の我慢は決壊した。
「……う…うぅぅわゎゎぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!?なんです!!!?なんです!!!大嫌いなんて?なんです!!!!大好きだったんです!!!大好きだったんです!!!約束!!約束したのに!!!私がおばあちゃんになってもずっと傍に居てくれるって!!!嘘つきです!!!嘘つきです!!!!何で!!何で!!死んじゃったんですか!!!何でですか!!何でですか!!!楓様が何か悪い事したんですか!!!私が何か悪い事したんですか!!!諏訪子様が何か悪い事したんですか!!!返してください!!返してください!!楓様を返して下さい!!私の幸せ返してください!!返して!!うぅわゎぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
今まで我慢していたものをぶちまける様に喚き散らす早希。大粒の涙を止めど無く流しながら紫に抱き付き慟哭している彼女を見ながら僕と神奈子は渋面になる。
今回の戦で死んだ者に罪が在るかと言えば間違いなく無い。死んだ責任は戦の指揮をしていた僕達にこそあるだろう。覚悟していた筈なのになんて情けない。でも果たせる責任は果たさなければいけない。
諏訪大社の境内に早希の嗚咽だけが木霊していた。
□ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■
あの後早希は数日間の疲労と泣き疲れで気を失ってしまった為ルーミアに頼んで寝室へと運んでもらい、紫もまだ心配だったのかその後を付いていった。
僕は神奈子と共にその場に居なかった諏訪子の部屋に行ったのだが諏訪子は僕達に合おうとしなかった。神奈子はその態度に怒り部屋ごと吹飛ばそうとしたが何とか宥めその場を後にする。諏訪子とちゃんと話をしないといけないな。僕も諏訪子もこれからの生活からは逃げられないのだから。
そして、その夜僕は一通の
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