第二章 [ 神 鳴 ]
二十九話 慟哭
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翌朝、準備を整え神奈子と共に諏訪の都に出発した。
道中は飛んでいる為何の問題も無く昼前には目的地に到着した。ほんの数日しか離れていなかったというのにどうしてこうも懐かしい感じがするんだろうか。その理由に気付くと僕は自嘲してしまった。
「?どうしたんだい七枷、いきなり笑い出して」
そんな僕を神奈子が不思議そうに見ながらそう言った。
「あぁごめんね、大した事じゃないから気にしないで」
だって懐かしいと思ったのは単純に帰ってこれなくて寂しかったんだと気付いたからだ。情けないと思うべきか、素直だと思うべきか。まぁとりあえず、
「それじゃぁ諏訪大社に向かおうか」
僕がそう促すと神奈子も「そうだね」と頷き歩を進める。途中僕に気が付いた住民達も居たけど皆頭を下げるだけで声をかける者はいない。神奈子との会話も無いまま目的地である大社に到着し、階段を上り境内に入ると、
「お父様!!」
紫が勢いよく僕の胸に飛び込んでくる。僕は優しく受け止めると紫の頭を撫でながら、
「ただいま紫、いい子にしてたかい?」
普段と変わらない感じでそう問いかけた。紫の方も普段通りな笑みを浮かべ、
「私はいつでもいい子よ」
その笑顔を見て落ち着くなーと安心しながら境内の方に視線を向けた。そこにはルーミアと早希が僕達の様子を見ながら、やれやれという風に笑っている。僕は紫を抱きかかえたまま二人の所に歩を進めた。
「ただいま二人とも、心配かけたかな?」
そう言う僕にルーミアは、はぁ?みたいな表情を浮かべた。
「寝言は寝ながら言いなさいよ。私があんたを心配する理由が無いでしょ?」
「非道いなー、でも大丈夫だよルーミアの心の声はちゃんと僕に届いているから。耳を澄ませば聞こえてくるよ『あぁ虚空の事が心配で心配でたまらないわ!』って…御免なさいルーミアさんお願いですから眉間に剣の切っ先を刺すのは止めてください」
僕の台詞に気を悪くしたのかルーミアは大剣を呼び出してその切っ先を僕の眉間に押し付けていた。ていうか痛い痛い刺さってる!
「全く――――次にくだらない事ほざいたら首を落とすわよ?」
剣を消しながらルーミアはそう吐き捨てた。
「アハハ、とりあえずお帰りなさいですー、虚空様ー」
僕達のやり取りを見ていた早希が笑いながらそういってくれるけど、その笑顔には全くと言っていいほど力が無い。目の下には隈もできておりすこしやつれている様な雰囲気も漂わせていた。
「……早希にも色々迷惑をかけちゃったね、楓の事で辛いのにごめん」
僕の言葉に早希は笑顔のままビクッと身体を震わせた。
「な
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