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東方虚空伝
第二章   [ 神 鳴 ]
二十九話 慟哭
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組みながら威風堂々とそう言い切った。愛の鞭ねー、仮にアレに愛が篭っていたとしても身体がもたないだろう。月詠の後ろに居る神奈子も僕と同じ事を思っているのか苦笑いを浮かべていた。

「まぁ、あいつの事などどうでもいい。神奈子七枷の錠を外してやれ」

「はい。じゃぁ七枷手を出しな」

 神奈子に言われた通りに錠のかかった手を差し出すと、神奈子が触れただけで錠の拘束が外れる。

「僕の錠を外したって事は、諏訪の国の方針が固まったって事だよね?」

 僕の問い掛けに月詠は真面目な表情で、

「話の内容は食事の席で教えてやる。とりあえず着替えを持ってきているから着替え終わったら声をかけてくれ」

 そう言い残し月詠は部屋を後にした。そして神奈子が持っていた風呂敷の包みを僕に手渡しながら、

「あんたが着てた服はボロボロだったから新しく同じ様な物を用意してあげたよ。寸法は合ってる筈だから問題は無いよ」

「ん、ありがとう。……ねぇ諏訪子の様子はどうだったの?」

 僕の中で今一番の気掛かりは諏訪子の精神状態だ。ちゃんと対話出来たのだろうか。神奈子は僕の質問を聞くと何やら渋面になり溜息を吐きながら答えてくれる。

「……掻い摘んで説明するけど洩矢は話し合いの席には出ていない。あたし達と会談したのはあんたの娘だよ。まぁ詳しくは後で教えてあげるから早く着がえな」

 そう言うと神奈子は僕の返事も聞かずに部屋を後にした。とりあえず早く着がえて話を聞こう。
 窓から見える空は茜色に染まり始めていた。




□   ■   □   ■   □   ■   □   ■   □   ■



 料理が並べられた一室に僕は案内された。
 部屋に集まったのは僕と神奈子、月詠、須佐之男の四人。二人ずつ対面する形で席が設けられている。
 僕の隣りは神奈子で正面に月詠が座り、全員が席につくのを確認すると神奈子が進行役として話し始めた。

「さて、とりあえず会談で決まった事から説明しようかね。悪いけど質問があっても後にしておくれ」

 神奈子は視線で僕に了承の意思を確認してきたので頷いて先を促した。神奈子の説明によればまず一番の問題だったのは諏訪子に対する諏訪の民達の異質な信仰心を大和に向けさせる方法である。
 従来のやり方で信仰を変えさせ様としても恐らく無意味である、と戦場で諏訪子の祟り神としての力を目にした天照が言ったらしい。その点については僕も何となく感じてはいた。その為大和としては諏訪子を消す事が一番効率的だという方針だったという。
 あくまでも効率的だというだけでリスクが無い訳ではなかった為他の方法がないか諏訪との話し合いの場を設けた、もっとも当の諏訪子はその話し合いを放棄してしまったそうだが。
 そし
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