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《SWORD ART ONLINE》ファントムバレット〜《殺し屋ピエロ》
女神と道化師の舞踏会
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ダメージ判定も健在で、殺されれば経験値の喪失及び低確率で所持品のドロップを招く。

仮にそれがないにしても、まさかこんな子供の癇癪とも呼べる事を提案するとは......思わず彼の正気を疑いたくなった。

そんな自分の表情に明らかな失望の色を見てとったのだろう。それだけ見れば歴戦の兵士と言った顔を歪ませ、ダインは駄々をこねるように喚いた。

「なんだよ、ゲームでマジになんなよ! どっちでも一緒だろうが、どうせ突っ込んでも無駄死にするだけなんだからさ!」

その言葉のある一部が、シノンのもっとも敏感なところを刺激し、うなじの毛を逆立たさせた。

ーーゲームで本気になるな? 違う、私にとって《ガンゲイル・オンライン》はただのゲームじゃない。過去のトラウマを焼き払い、新しい自分に生まれ変わるための戦場なんだ。それをそんな簡単にーー

「なら死ね!」

反射的にシノンは叫んでいた。

「せめてゲームの中でくらい、銃口に向かって死んで見せろ!」

瞬間、彼女を中心に鮮烈な風が吹く。ふわりと空色のショートヘアがゆれ、周囲の人間は惚けたようにシノンを見つめた。それを梅雨と受け流し、ツカツカとダインに歩み寄ったシノンはその襟首を掴んで強引に立ち上がらせた。やれやれ、これでもうこのスコードロンとも縁起れかな。

しかし後悔の2文字は見当たらず、むしろ清々した気持ちでシノンは全員に言い放った。

「3秒でいい、ピエロの注意を引きつけて。その間に私がへカートで始末する!」



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空中に突き出た鉄骨の上に立ち、高みの見物を決め込んだメイソンは上機嫌に呟いた。

「ふふ、馬鹿と煙はたかぁ〜い所が好きってね」

他愛のない言葉にくつくつと笑う。次節、非難めいた味方の視線が浴びせられるが知ったことではない。まぁ、彼らにとってはやはり大迷惑なのだろう。なにせ、後一押しというところで最後のカード・・・ジョーカーが言うことを聞かないのだから。

このまま攻めれば敵の殲滅は容易。ある程度の距離まで接近できれば30秒で全員を片付けてやれる自信があった。だが、重要な点はそこじゃない。

「面白いってのが最優先事項だ。だろ?」

閉じた瞼の裏に少女の姿を思い描き、嘲笑混じりに話しかけた。

そう、お前は生かされているんだ。超長距離を得意とするスナイパーの最後が、あんな狭い廃墟の中では詰まらない。どんな風に足掻くのかは知らないが、その強さの一端を見せて貰うまでは自由にしてやる。

「追い詰めてみろよ。この俺をさぁ」

応答するように"風"が吹いたのを感じたメイソンは、ゆっくりと仮面の下で双眸を押し開いた。両手に握った《ウージプロ》が鼓動を刻み出し、その時が近いことを所有者に告げる。

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