暁 〜小説投稿サイト〜
『八神はやて』は舞い降りた
第1章 悪魔のような聖女のような悪魔
第11話 悪魔のような聖女
[2/3]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
まうだろう。
 そんなときだった――


『おや?お嬢さん。日本は初めてなのかい?あてどなく彷徨っているようだが、ボクが町を案内してあげよう。なあに。ずっとこの町に住んできたんだ。安心するがいい』

 
 悪魔言語ではない、本物の英語で声をかけられた。
 振り返ってみると、亜麻色をした肩にかかるくらいのショートカットの女性――――彼女はどうみても日本人だ――――が、話しかけていた。
 付き添いという名の監視役の堕天使が、止めようとするが、あっという間に、観光することになってしまった。
 なんだかんだで、その堕天使も退屈していたらしく、楽しんでいたようだ。
 アーシアも、つかの間の幸福を味わうことができた。
 こちらに人懐こい笑みを浮かべる少女。


 ――八神はやては、再会の約束までして、去って行った。





 アーシア発見。


 やはり、顔色はすぐれないようだ。
 深呼吸して、突撃。ナンパに成功。
 張り付いていた堕天使も、話のわかるヤツで、いっしょに町を見て回った。
 アーシアと会ったとき、なぜか、なつかしさを感じた。
 彼女とは初対面のはずである。
 念のため彼女に尋ねたが、以前に会った記憶はないと答えた。
 帰り際には、少しだけ元気がでたようにみえたが、沈んだ顔をした理由を尋ねたボクに対して、


『ありがとうございます。もう、私は大丈夫です』


 と、綺麗な笑顔で返答した。
 明らかに、嘘だとわかった。
 が、他人を巻き込みたくない、彼女なりの気遣いだと分かる。

 
 それは、とても優しい嘘だろう。
 ――彼女は、自分自身よりも他人を優先するのだから

 それは、とても残酷な嘘だろう。
 ――彼女は、頼れる人がどこにもいないのだから


 なんとかしてやりたい。と、ボクは改めて思う。
 アーシアは必ず救う。救ってみせる。
 だから、もうすこしだけ待っていてほしい。
 きっと、兵藤一誠たちが助けてくれる。もちろん、ボクたちも。
 最近彼女のことが気になって仕方ない。
 どこかなつかしさを感じて、放っておけない。
 疑問を持ちつつも答えは出なかった。 
 ……とはいえ、アーシアも待つだけでは退屈だろうから、お姉さんが傍にいてあげよう。
 

 ――明日は、ゲームセンターに連れて行ってあげよう。

 ――なに、遠慮することはない。費用は、お姉さんもちだから。

 ――そこの付き添いの方も、いっしょに如何かな?





 その後、数日の間、アーシア(おまけで堕天使)と、遊んで回った。
 短い期間だったが、お互いの距離はだいぶ近づいたように思う。
 ボクも、「遊んであげる」のではなく「いっしょに遊ぶ」こと
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ