第1章 悪魔のような聖女のような悪魔
第11話 悪魔のような聖女
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まうだろう。
そんなときだった――
『おや?お嬢さん。日本は初めてなのかい?あてどなく彷徨っているようだが、ボクが町を案内してあげよう。なあに。ずっとこの町に住んできたんだ。安心するがいい』
悪魔言語ではない、本物の英語で声をかけられた。
振り返ってみると、亜麻色をした肩にかかるくらいのショートカットの女性――――彼女はどうみても日本人だ――――が、話しかけていた。
付き添いという名の監視役の堕天使が、止めようとするが、あっという間に、観光することになってしまった。
なんだかんだで、その堕天使も退屈していたらしく、楽しんでいたようだ。
アーシアも、つかの間の幸福を味わうことができた。
こちらに人懐こい笑みを浮かべる少女。
――八神はやては、再会の約束までして、去って行った。
◇
アーシア発見。
やはり、顔色はすぐれないようだ。
深呼吸して、突撃。ナンパに成功。
張り付いていた堕天使も、話のわかるヤツで、いっしょに町を見て回った。
アーシアと会ったとき、なぜか、なつかしさを感じた。
彼女とは初対面のはずである。
念のため彼女に尋ねたが、以前に会った記憶はないと答えた。
帰り際には、少しだけ元気がでたようにみえたが、沈んだ顔をした理由を尋ねたボクに対して、
『ありがとうございます。もう、私は大丈夫です』
と、綺麗な笑顔で返答した。
明らかに、嘘だとわかった。
が、他人を巻き込みたくない、彼女なりの気遣いだと分かる。
それは、とても優しい嘘だろう。
――彼女は、自分自身よりも他人を優先するのだから
それは、とても残酷な嘘だろう。
――彼女は、頼れる人がどこにもいないのだから
なんとかしてやりたい。と、ボクは改めて思う。
アーシアは必ず救う。救ってみせる。
だから、もうすこしだけ待っていてほしい。
きっと、兵藤一誠たちが助けてくれる。もちろん、ボクたちも。
最近彼女のことが気になって仕方ない。
どこかなつかしさを感じて、放っておけない。
疑問を持ちつつも答えは出なかった。
……とはいえ、アーシアも待つだけでは退屈だろうから、お姉さんが傍にいてあげよう。
――明日は、ゲームセンターに連れて行ってあげよう。
――なに、遠慮することはない。費用は、お姉さんもちだから。
――そこの付き添いの方も、いっしょに如何かな?
◇
その後、数日の間、アーシア(おまけで堕天使)と、遊んで回った。
短い期間だったが、お互いの距離はだいぶ近づいたように思う。
ボクも、「遊んであげる」のではなく「いっしょに遊ぶ」こと
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