Development
第二十六話 転校生
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人影に、これ幸いと声をかける。
「ねぇ、ちょっと。そこのあなた!」
「はい? 私でしょうか?」
「あ……」
声をかけた少女が振り返り、その姿をしっかりと確認できるようになると思わずその容姿に息をのんだ。モデルのようなスタイルに整った顔、美しい銀髪、同じ女である自分ですら見惚れてしまうような少女だった。
黙り込んでしまった鈴に対してその少女が訝しんで声をかけてくる。我に返った彼女は慌てて謝り、自分が転入生であることと目的の場所への案内をお願いする。
その後名乗ったあとに思わず、先ほど彼女を見たときの感想を漏らしたのだが……。
「そ、そう……ですか。あり……がとうございます。はぁ」
なぜか、目に見えて落ち込んでいる。先ほどまで綺麗な笑みを浮かべていた表情は曇り、心なしか引き攣っている。最後にはため息まで出ている。
先ほどまでの凛とした姿と、容姿を褒めたら急に落ち込んでしまっている目の前の少女のギャップになんだか鈴はおかしくなり、噴き出してしまう。そのまま事務受付室に着くまで笑っていたのだが、若干彼女は少し頬を膨らませていた。本気で怒っているわけではないのはわかったが、その可愛らしい仕草にまた笑ってしまう。
「あはは、ごめんごめん、ありがとね。えっと……」
そこまで言って、名前を聞いてないことに気付く。自分の言葉に急に落ち込んでいたからそのまま聞けず仕舞いだったのだ。言葉に詰まった理由を察したのか、鈴が聞く前に目の前の少女が口を開く。
「申し遅れました。1年4組の西園寺紫音です」
鈴は、この短い時間で紫音という少女のことを気に入ってしまっていた。鈴が言うのも変な話だが初対面の彼女にも普通に接してくれ、その中で様々な表情を見せてくれた紫音。
かつて日本で生活した時期がある鈴だが、一つを除いてあまりいい思い出はない。当然知り合いも少ない中で、紫音という同学年に最初に出会えたのは僥倖に思えた。別に彼女は独りが寂しいといったこともなく積極的に友人を作るタイプではないが、自分が気に入った相手がいればその限りではない。
多少強引ではあったものの、紫音とは持ち前のアグレッシブさでお互いに名前で呼ぶようになり、別れた。
面倒な手続きを終えた鈴はクラスに合流する。思ったより時間がかかってしまい、SHRの始まるギリギリの時間になってしまった。そして、そのSHRで一つの騒動が起きた。
せっかく専用機持ちがきたのだから、とクラス代表を押し付けられたのだ。いや、彼女にしてみたらクラスメイトに煽てられて快諾しているのだが。
そして、昼休み。ようやく自由に動けるようになった彼女は自分が日本に来た目的の一つである……織斑一夏の元へと向かった。
「で、どういうことだ一夏」
「
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