Development
第二十六話 転校生
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っていった。
サバサバとした子だったなぁ、なんか最後は強引に押し切られた感があるけど悪い気はしない。さっきまでの暗い気分もいくらか吹っ飛んだ。
転校生ということで、僕に対する先入観がないからか気軽に接してくれたのは嬉しい。でも、彼女が僕の事情を知ったらどうなるだろう……それを考えたらまたちょっと憂鬱になった。
◇
「はぁ、やっとついたわね」
IS学園の正面ゲートで佇む一人の少女……凰鈴音はため息とともに独りごちる。
それも仕方ない。はるばる遠く中国からこの学園までやってきたのだ、ため息の一つくらいは出るだろう。
凰鈴音は中国の代表候補生であり、この日学園へと転入することになっている。だがなぜ、入学ではなく転入なのか。それは彼女が学園へ通うのがイレギュラーだったからだ。
いや、その言い方は適切ではない。もともと、中国軍部は彼女に学園への入学を要請していたが彼女は拒否し続けていた。他に適切な候補者がいなかったため保留となっていたのだが、彼女が急遽入学を希望。そのころには入学候補が決まっていたにも関わらず軍部を半ば脅す形で許可を得る。
学園へ来るのが遅れたのは、そういったゴタゴタがあったためだ。
「それにしても……」
上着のポケットからクシャクシャになった紙を取り出す。大事な書類であろうはずのそれの姿が、彼女の大雑把な性格を如実に語っている。
「なんなのよ、この本校舎一階総合事務受付って! こういうのって普通職員室じゃないの? だいたい、名前が長ったらしい上にどこにあるのかよくわからないのよ!」
その書類にはしっかりと地図が書いてあるのだが、クシャクシャにつぶれたせいで文字が見えにくくなったりとわかりにくくなってしまっている。自業自得なのだが彼女にとってはそれも無かったことになっているようだ。名前や職員室云々に関してはもっともな意見ではある。
再びポケットに紙くず……もとい、書類を無造作に詰め込む。
「ん〜、だれかに案内してもらおうにも……」
一人で叫び続ける少女の周りには人がいない。いや、別に彼女を避けているわけではなく単純に朝早いがためにまだ生徒が少ないだけなのだが。
「はぁ」
「はぁ」
「ん?」
とりあえず、校舎の入口あたりまでたどり着いたあたりで再びため息を漏らす。すると、なにか自分以外のため息が重なったような気がしてあたりを見回すと、そこには銀髪の生徒がいた。チラッと見えたリボンの色は青、一年生だとわかった。ちなみに、この学園ではリボンで学年がわかるのだが一年は青、二年は黄、三年は赤となっている。とはいえ、規則が緩いのか必須ではなくつけていない生徒もいる。余談だが当然、一夏はリボンはしていない。
ようやく見かけた
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