Development
第二十六話 転校生
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な女の子がいた。手には、小柄な体とは不釣り合いともいえる大きなボストンバックを持っている。
「はい? 私でしょうか?」
もし僕じゃなかったら恥ずかしいので、一応そう聞き返してみる。
そうすると、彼女はそのまま僕に近寄ってくる。
「あ……」
ん? 急に黙ってしまった……もしかして人違いだったかな?
「あの?」
「あ、あぁ、ごめんなさい。私、今日からこの学園に転入するんだけど、えっとなんだっけ……そう、総合事務受付? の場所がわからなくて。よかったら案内してくれないかしら?」
「はい、構いませんよ」
見たことない子だと思ったら転校生だったのか。私服だからよくわからないけど、一年生でこの時期っていうのは考えにくいから上級生かな?
「ありがと! あたしは凰鈴音、1年2組よ。ん〜……」
予想は外れたようだ。入学が遅れた訳じゃなく、転入扱いなのは何か事情があるのだろうか。
それはそれとして、凰さんと名乗った少女は僕の顔を見ながら何故か再び黙り込んでしまう。
「? どうしました?」
「いや……あなたの肌、すごい綺麗ね。それに凄い美人だし。正直、ここまでだと凹むどころかむしろ尊敬しちゃうわ……」
あぁ、そういうことか……なんだろう褒められてるのに素直に喜べない。
「そ、そう……ですか。あり……がとうございます。はぁ」
自分でも顔が引き攣ってるのがわかる。
一応、お礼は言えたけど不意打ちだったせいかため息まで漏れてしまった。
「……ぷっ。なんで美人って言われて落ち込むのよ、変な人ね」
確かに、客観的に見たらおかしいだろうことは自分でもわかる。
気を取り直して、とりあえず職員室に向かって歩き出すも、凰さんはツボに入ったのか僕の落ち込み具合が面白かったのかそのまましばらく笑っていた。
「もう、いつまで笑ってるんですか。つきましたよ、凰さん」
「あはは、ごめんごめん、ありがとね。えっと……」
言葉に詰まる凰さんを見て、自分が名乗ってないことを思い出した。
いや、凰さんが名乗った時点で僕も言おうと思ったんだけど、美人って言われたショックで忘れたんだよ……。そう言われることには不本意ながら慣れてはきたんだけど、面と向かって初対面の人に言われるのはやっぱりダメージが……。
「申し遅れました。1年4組の西園寺紫音です」
「う〜ん、型っ苦しいわねぇ。そうだ、私のことは鈴って呼んでちょうだい」
「ふふ、わかりました、鈴さん。ただ話し方は普段からなので許してください。これから学園ではよろしくお願いしますね」
「まぁ、それなら仕方ないわね。えっと紫音……でいいかしら? こちらこそよろしくね」
そう言うと彼女は部屋へと入
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