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魔道戦記リリカルなのはANSUR〜Last codE〜
Epos10犯罪者たちの秘密な宴〜The Desperado Party〜
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ってきます」と小声で挨拶してから、地球を後にした。


俺たちパラディース・ヴェヒターは次元転移を行って世界4つを跨いで、今回の戦場となる第33無人世界へと辿り着くことが出来た。見渡す限り峡谷で、見た目は地球のグランド・キャニオンに酷似している。
唯一の違いと言えば峡谷内の切り立つ壁の内側には尖塔が幾つも突き出していることか。あれは空を飛ぶにも陸を走るにも苦労しそうだ。そんな移動に苦労しそうな峡谷こそがデスペラードパーティ、空戦レースにおけるコース。空からコース全体を眺めていると、

「来たな、魔導犯罪者(デスペラード)どもが」

「すげぇ。船があんなに来やがった。戦場みたいだな」

「まさしくこれより戦場になるだろうな」

空を見れば小型・中型の次元航行船が次々と降下して来ていた。降下し終えた中型の船より降りて来るのは裏社会で名を馳せるVIPども。中には世間に良い顔を晒している政治家なども居る。十数隻の小型の船からは魔導犯罪者が降りて来て、他の連中と再会を祝ったり喧嘩腰で睨み合ったりしている。

「それじゃあ行こうか」

「え?」

「ああ」

「おう!」

「うむ」

俺たちは地上でたむろしている犯罪者どもを挑発するかのごとく降り立つ。

「おい、コイツら・・・!」

「ふざけた動物の被り物・・・!」

「パラディース・ヴェヒター!!」

『うわぁ、アウェー感がすさまじぃ〜』

『ちょっ、ルシル君。わざわざど真ん中に降りなくても・・・』

一気に騒然となる犯罪者ども。ウサギの頭をしたヴィータが殺気だっている連中をジロリと見回す。が、くるっとした真っ赤な瞳、ふわっとしたウサギ顔の所為で迫力も何もない。そしてヒツジの顔をしたシャマルが若干怯えを見せている。血に飢えた狼(犯罪者)の群れの中に放り込まれてしまったか弱い羊――シャマルの如く。それを想像するとちょっとばかり可笑しくなってしまう。

『コソコソするより堂々としていた方が騎士らしいだろ? それに。襲われるようなら俺がちゃんと守るから』

『えっ、あ、うん・・・。その時はお願い、します』

俺の騎士甲冑の袖をキュッと掴んでくるシャマルを微笑ましく眺めていると、「よくも俺の仲間を!」と憤りデバイスを起動した連中が出て来た。どうやら以前俺たちに捕縛され管理局に引き渡された犯罪者の身内も居るようだ。

『相手にしなくていい。無視して先へ行こう』

みんなには相手にしないよう言って、招待状と一緒に送られてきたマップに記されていた宿泊施設へと歩を進める。ちなみに宿泊施設とは峡谷の最下流にある岩山を掘ったり削ったりして造った洞窟住居だ。地球におけるトルコはカットバキアの洞窟ホテルと同じようなものだ。
連中を無視して行こうと
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