第十四話 〜第二次蕃族掃討戦・前〜
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まったよおい。
どうすんだよこれ。
しかも大事になり過ぎて周り目撃者だらけだよこれ。
あー…本当にもう…なんでこんな事に…。
『あ、あの!』
『…ん?なんだ?』
『え、えっと…何てお呼びすればいいですか?』
『…』
名前かー。
そうかー。
これ言ったら完全に身元バレるよなー。
…手遅れか。
『…魯典だ』
『魯典…さん』
『…』
『魯典さん!よろしくお願いします!』
もうこれ、普通に手柄の一つでも立てないと人生終わりだな。
あ、てかそもそもこんな場所に敵兵なんてこねぇわー。
上が山張ってんだもん。
万が一にもこねぇわーちくしょうー。
…詰んだわこれ。
『あ、あの!魯典さん!』
『…あぁ?』
『顔色悪いですよ?』
てめぇのせいだよ。
『…何でもねぇよ』
おいおいどうしたんだよ俺。
ちょっと前までの威勢はどうしたんだよ屑が。
はははー…情けねえ。
何が一言言ってもバチは当たらないだ。
少し前の餓鬼を前に大人ぶろうとした自分をとことんぶん殴ってやりたいぜちくしょう。
『…そ、それで何ですが…』
『…』
何だよ。
今度は何だよ。
『ま、まず何をすればいいんですかね?』
『…は?』
『ほ、ほら!あるじゃないですか!例えば敵に備えて陣を張るとか兵士の方々に休養を取ってもらうとか!』
『…』
知るかぁボケェ!!!
お前仮にも官士の息子だろ!
何して今まで生きてきたんだよ!?
何でそれを一兵卒頭に聞くんだよ!
あああああああ!!!
うがああああああ!!!
『…』
『…?』
『…』
『…まずは斥候をだな…』
はぁ…死にたい。
もう少しじゃ。
もう少しでこの大地はワシの天下はなるぞ。
『…くふ、くふふふ…』
『…』
おっと、いかんいかん。
ついつい頬が緩んでしもうたわい。
…しかし、こうなるまでにいったいどれほどかかったことか。
ワシが前主烈王に仕えていた頃は仕官時を逃していた事もあって重席は既に埋まり、対した権力は望めなんだが、それでも野望を抱き続けてはや20年…。
軍才も政才も武才も欠くこのワシがのし上がる為に来る日も来る日も腰を屈めて媚び耐えぬき、時には謀略を用いて他を蹴落とし、やっとの思いでこの辺境の権限を握りはや10年…。
後はただひたすら平和な時代にあっても昇格の望みをこの地にだけは残すべく争いの火種は消さず広げずのらりくらり…。
だがそんな苦労も零の邪魔立てで消えかけたあの数年前…。
しかし、あの時のワシは冴えていた。
持てる既知を最大限に生かし、一時的とはいえ、小間使いから一転、今では烈州州牧…。
まったく、人生というのはわからぬもの
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