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〜烈戦記〜
第十四話 〜第二次蕃族掃討戦・前〜
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はしたくない。
だから今回のように眼前に押し付けられた事実にはどうしても戸惑ってしまうのだろう。

安心しろ、俺だってこんな奴は初めてだ。

せめて無能な上司なら他の無能な上司供と同じく戦闘が始まるまでは自信満々に踏ん反り返ってくれていたらどれだけ気が楽か。

そして俺を含め、こいつらが不安がる理由はもう一つある。
それは俺達と他の奴らとの目の違いだ。
そもそも今回この部隊の任務はこの主戦場と掛け離れた僻地に陣を敷き敵を警戒、または防衛せよというものらしい。
だが、防衛とは名ばかりに殆どの目的は前者の警戒にあるようでこの僻地にはそれ程の兵は割かれていない。
そして極めつけはその数少ない兵の中でも俺達の隊、即ち会都よりの援軍の中でも偶然選ばれた少数の兵を抜いた大多数を占める奴らは皆、先の初戦で敗戦をした部隊の兵士達と聞いている。
そりゃ敗戦してまだ間もない奴らと俺らとじゃ目の色が違って当然ではあるが、こうまであからさまにビクビクされていては俺の部下だって不安になってくるだろう。
仕方ないといっちゃ仕方ない。

『た、隊長…っ』

…うっとおしい。
そもそもそんなのは俺だって一緒だ。
元々最近まではたった10人程度を束ねるだけのただの什長だった男だぞ?
それが例に違わず偶然この部下の兵を含め後ろの50人を束ねる事になっただけで、現にこの声をかけてくる兵士の名前すらまだまともに覚えちゃいないんだ。
境遇はみんな同じで俺だってすげー不安なんだよ。
なのに何故お前の分まで心配を取り除いてやらんといかんのだ。

『…』
『…はぁ』

…面倒くせぇ。
だが、だからといってこの弱気な部下を無碍にする訳にもいかず一応後ろを振り返る。

『…』

だが、振り返ってみればどうってことはない。
そりゃこいつ一人なわけねぇよな。
あーやめたやめた。
無理無理。

そして俺は声をかけてきた兵士含めほぼ大半の不安気な部下達をよそに空を仰いだ。



『あ、あの!』
『あぁ?』
『あっ…』
『あ…』

しまった。
もう俺の番だったのか。
急に声をかけてきたもんだから思わず素が出てしまった。

『…』
『…え、えっと…』

だがどうしたものか。
仮にもこの餓鬼は上司ではあるものの何か釈然としないこいつの態度にまるで謝る気が起きない。
それは多分俺の性格だ。
それにそんな気持ちのまま謝まった所でボロが出てしまうだろう。

『隊長ッ…隊長ッ…!』

だが後ろでは何時迄も上司に対しての不遜な態度を詫びない俺に対して肝を冷やしているのか小声で急かす先程の兵士がいる。

『はぁ…すー…』

あー…面倒くせぇ。

『大変申し訳ございませんでしたであります部隊長殿!』
『…
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