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魔法少女リリカルなのはANSUR〜CrossfirE〜
動き出す使者 〜後編〜
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た場所に、首と右肩から血を流したまま座り込んでいるルシリオンが居た。しかし綺麗だった銀色の後ろ髪は今はもう短く、血に染まって赤くなっていた。ルシリオンは首を刎ねられるその刹那に複製術式、
神騙す夢幻
(
レフィナド・イルシオン
)
を発動。そのおかげで大鎌から逃れ、首と右肩だけの傷だけで済んだのだ。
――
神騙す夢幻
(
レフィナド・イルシオン
)
。大戦時、夢幻王プリムスがたった一度だけ使った魔術。全てを欺くほどの質量のある精巧な自分の
幻影
(
みがわり
)
を生み出す、というものだ。幻影と入れ替わるようにして最大数百メートル内に瞬間転移することで、敵からの攻撃を回避し、代わりに攻撃を受けた
幻影
(
みがわり
)
によって自分を死んだと思わせる術式。本来なら血液や臓器などの効果も含まれるが、今回は全てに余裕のなかったために術式を省いたことで、単なる回避用の手段となってしまっていた――
(たった1体だけしか潰せなかったか。弱ったな・・・)
座り込むルシリオンの傷は深いが、彼は治癒魔術を使おうとはしていなかった。魔力を放つことで、自身の居場所を察知されてしまうためだ。そうなると“英雄の居館ヴァルハラ”で一気に決めようとしていた策が無に帰すことになると判断したからだ。だが結局それは叶わず、取り込んだのはマモンの1体だけ。ルシリオンは「チッ」と舌打ちしたあと、首と右肩に負った怪我を治す。これで残りの2体に自分のいる場所を知られたはずだ。
「全く、シャルにもリンクが通らないし、面倒なことをしてくれた」
ルシリオンは残りの“大罪ペッカートゥム”と戦うために立ち上がる。ここでさらに数を、可能ならば2体とも完全に斃すことを目指す。リンクに関しては、この場にいないルシファーが仕掛けたことだが、もちろんルシリオンは知らない。
「地上はどうなっているだろうか? いや、フェイト達が居るのだから心配はないな。それ以上に気になるのは、あの子たちがちゃんとケースを回収できたかどうかだが・・・」
ルシリオンが気になるのは先行させたフォワードとギンガの5人。気にはなるもののどうすることも出来ないため、まずは現状を打破するために・・・
「第三級断罪執行権限・・・解凍」
ルシリオンはS−ランクからSSSランクの魔力を制限する第三級の
執行権限
(
リミッター
)
を解凍、その身に宿す魔力をSSSランクとした。
「我が手に携えしは確かなる幻想」
ルシリオンは冷静に考え、魔力攻撃はまずいと判断、全て神秘の攻撃に切り替える。なら魔術は不可、複製術式もまた不可、ならば複製能力を使えばいいと結論した。ルシリオンは、別の世界で契約を行っている別の自分が複製した能力を引っ張り出す。オリジナルに神秘はないが、“英知の書庫アルヴィト”に一度登録されたものは例外なく神秘を宿すようにな
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