暁 〜小説投稿サイト〜
ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
聖者の右腕篇
02.観測者
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かと誘われてようやく彩斗は動いた。
 適当な服装に着替えて部屋を出る。

 アイランド・サウスこと、住宅が集まる絃神島南地区。九階建てマンションの七階。七〇三号室に住む彩斗。その隣、七〇四号室に住むのは、“第四真祖”である友人、暁古城とその妹、暁凪沙。

 七〇四号室に入るとそこには、古城、凪沙の他にあと一名いた。獅子王機関の“剣巫”こと雪菜だ。

「……監視役ご苦労だな、おめぇは」

 聞こえない程度の声で口を動かす。

 凪沙が作った晩御飯を食べ終わって自宅に戻り、適当に暇を潰す。

「寝過ぎで全然、眠くなんねぇや」

 ベットの上に寝転がり睡魔が襲ってくることはないが、それでも寝ようと眼を瞑ったその瞬間だった。

「───ッ!!」

 圧倒的に強大な意思を持ち荒れ狂う魔力の塊。この感覚は吸血鬼の眷獣の感覚。それも普通の吸血鬼ではない。真祖レベルの眷獣だ。
 すると彩斗は考える間もなく家を飛び出した。




 古城をその場に残し、雪菜は街灯が消えた、燃えさかる炎が照らす絃神島東地区(アイランド・イースト)に到着する。

 戦闘する眷獣。巨大なワタリガラスのような漆黒の鳥。
 それを操っているであろう長身の吸血鬼がビルの屋上で操っている。

「あれは……」

 闇を切り裂き、虹のような色に輝く、半透明の巨大な腕が鳥の翼を根元からひきちぎる。
 実体を保てなくなった鳥の魔力の塊を虹色の腕はさらに攻撃する。

「魔力を……喰ってる!?」

 その異様な光景に雪菜は言葉を失う。倒した眷獣の魔力を喰らう──雪菜が知る限り、そんな眷獣は聞いたことがない。
 そしてその宿主を見て驚愕する。
 虹色の腕の宿主は、雪菜よりも小柄な少女。素肌にケープコートを纏った藍色の髪の少女。

「吸血鬼……じゃない!? そんな……どうして、人工生命体(ホムンクルス)が眷獣を!?」

 すると後ろで、ドッ、と重いなにかが投げ落ちる音がする。
 驚き後ろを見るとそこには、重傷を負った長身の吸血鬼が倒れている。
 肩口から深々と切り裂かれ、吸血鬼でなければ即死のような傷を負っている。

「──ふむ。目撃者ですか。想定外でしたね」

 聞こえた男の低い声に、雪菜が顔を上げる。
 燃えさかる炎を背に立っているのは、身長百九十センチを超える男。
 右手に掲げた半月斧(バルディッシュ)の刃と、装甲強化服の上にまとった法衣が、鮮血で紅く濡れている。

「戦闘をやめてください」

 雪菜が、法衣の男を睨む。
 男は、蔑むように眺めている。

「若いですね。この国の攻魔師ですか……見たところ魔族の仲間ではないようですが」

 淡々という。
 男の身体から滲み出る殺意を感じ、
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