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ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
聖者の右腕篇
02.観測者
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って肩をすくめる。
「お財布を返してください。そのつもりでここに来たんですよね」
静かな口調の雪菜。しかし古城は、財布を高く掲げ立ち上がる。
「その前に話を聞かせてもらいたいな。おまえいったい何者だ? なんで俺を調べてた?」
「……わかりました。それは、力ずくでお財布を取り返せという意味でいいんですね」
そう言って雪菜がギターケースに手を伸ばす。その瞬間、グルグルグル……という低い音で動きが止まる。
「えーと……もしかして、姫柊、腹減ってるの?」
硬直したままの雪菜に古城が訊く。
「おめぇには、デリカリーってもんがねぇのかよ……古城」
「だ、だったらなんだっていうんですか?」
古城の監視に来たこの少女。この時期に転校してきたのであろう彼女に金を貸してくれるような友人はまだいないであろう。
古城は、財布を雪菜の前に差し出す。
な、なんですか、と動揺する雪菜。
「昼飯、おごってくれ。財布の拾い主には、それくらいの謝礼を要求する権利があるだろ」
緒河彩斗は、一人で昼時の最も太陽が殺人光線を放つ中、帰路につこうとしていた。そうはいっても彩斗には帰る前に寄る場所がある。
彩海学園の裏手にある丘の上。緑の木々に覆われた小さな公園の奥。廃墟となった灰色の教会。
廃墟となった教会、修道院は薄暗い。そこに輝く金色の無数の瞳。
まだ幼い小さな子猫が十数匹がそこにはいた。
「よし、飯持ってきたぞ」
カバンの中から最寄りのパン屋でもらった食パンの耳と買ってきた一リットルの牛乳を取り出す。
すると小さな子猫たちは一斉にこちらに群がってくる。
「飯ならいっぱいあるから慌てんなって」
「また来てくれたんですね」
彩斗が小猫にエサをあげていると後方から聞き覚えのある柔らかな声に振り返る。
銀色の髪が風でなびき、少女は深々と頭を下げる。
彩海学園中等部の制服の着ている彼女はふわりとした笑みを浮かべながらこちらに近づいてくる。
「まぁな。そういう夏音こそ」
「この子たちの引き取り手が見つかるまで、面倒を見るって決めましたから」
彼女は叶瀬夏音。この子猫たちの面倒を見ている少女。
「ほんと夏音は、いいシスターになれると思うぞ」
淡い碧眼の少女は少し顔を赤らめて、深々と頭を下げる。
「ありがとうございます」
緒河彩斗の次の日、夏休み最後の日は、起きた時にはすでに太陽が高く上がっていた。何もする気のない“無気力”な少年はその日の夕方までベットの上で過ごすというなんともニート丸出しの生活をした。
このまま夜に突入しようともしたが夕方、お隣から夕食を一緒に食べない
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