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魔法少女リリカルなのはANSUR〜CrossfirE〜
ホテル・アグスタ
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とが・・・?」
それはたぶん嘘。聞いた話だと10歳になる頃にはすでにSランクに匹敵する騎士だったという噂だ。
「あるよ。だってそれが普通なんだよ、ティアナ。どんなに強くたって、人ひとりの力なんて高が知れてる。だから人は助け合って生きていく。だって1人じゃすぐに壊れてしまうんだから」
シャルさんは私から離れて遠い空を見上げていた。少しだけ見えたシャルさんの横顔はとても寂しそうだった。シャルさんにも、あたし達の知らない何かがきっとあるのだろうか。
「それじゃ私はもう行くね」
「あ、はい」
「ふんふんふふ〜〜ん♪」
シャルさんはまた鼻歌を歌いながら去っていった。でもシャルさん、これだけは思ってもいいですよね?
「・・・さっきからずっと音程・・・ずれてますよ?」
シャルさんは音痴だということが判った。なんか可愛らしい欠点だな、と思ったことは胸にしまっておこう。そしてこのすぐあと、ロングアーチからガジェット出現の報が入った。私は戻ってきたシャルさんと一緒にホテル・アグスタへと向かった。
・―・―・―・―・
オークション会場よりある程度離れた深い森林の中に2つの影。その2つの影――大柄な男と小柄な少女は、眼下に広がる森林に立ち上る黒煙を見ていた。それはガジェットの迎撃に赴いた機動六課の2人の副隊長、シグナムとヴィータによるガジェット撃破の証だった。
『ごきげんよう、騎士ゼスト、ルーテシア』
その2人の目の前にモニターが現れ、1人の男が挨拶を口にした。今回の事件の首謀者、ジェイル・スカリエッティだ。彼は大柄の男をゼストと呼び、小柄な少女をルーテシアと呼んだ。ルーテシアは同じく「ごきげんよう」と挨拶を返すが、ゼストと呼ばれた男は冷たく「何の用だ?」と言い放った。
『いやはや、相変わらずだね、騎士ゼスト』
スカリエッティはゼストの態度を大して気にもせずに話を進めていく。その内容は、ホテル・アグスタに在ると思われていた“レリック”は無いと判明したのだが“レリック”とは別の、実験材料として興味深い骨董を見つけたという。その骨董品を確保するために、ルーテシアとゼストに協力してもらいたい、とのことだった。
「断る。レリックが絡まぬ限りは、我らは不可侵を貫くと決めたはずだ」
スカリエッティからの依頼を考えるまでもない、と切り捨てたゼスト。しかしゼストのその返答にも動じず、スカリエッティは『ルーテシア、君はどうだろうか?』とルーテシアの返答を聞いている。ルーテシアは俯いていた顔を上げて「いいよ」とそう一言、依頼を受けることを承諾した。
『優しいなぁ、ルーテシア。感謝するよ。今度ぜひお茶とお菓子を奢らせてくれ。それでだが。ルーテシア、君のデバイス・アスクレピオスに私の欲しい物のデータ
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