第二十話
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オレはすぐに山賊どもを殺し、男の治療を施して事情を聞いた。
「好きな人が攫われたんだ。なら助けるしか無いじゃないか」
「なぜ助けを呼ばなかった」
「誰もが仕方ないと助けにいこうとしなかったからだ」
「そんなに大事なのか」
「......今まではそんな事は無かったけど攫われたと聞いた時、世界が真っ暗になった。そこで初めて彼女が大事だった事に気付いて」
「自分が死んだらその人が悲しむんじゃないかと思わなかったのか」
「どうだろう、僕は彼女に思いを告げた訳じゃないし。このままなら僕が死んだ事すら伝わらなかっただろうから。だからこれは僕のエゴなんだと思う。けど僕はこの選択を後悔するつもりは無い。思いを伝えられないまま終わる事を僕は認めたくない」
ああ、やっと分かった。こいつの話を聞いていて。
オレは姫さんの事が好きなんだ。
だけど嫌われたくないから助けにいく事が出来なかった。
けどこの男の話を聞いてオレも思いを伝えられないまま終わる事を認めたくねえ。
なら姫さんに嫌われずに助ければ良いだけじゃねえか。
そうだよ簡単な事じゃねえか。難しく考える必要なんて無かった。
「ありがとよ」
「へっ?」
「お前のおかげでオレはまた空を駆けれる」
「はあ、どういたしまして」
「ほら、とっとと行くぞ。思いを伝えるんだろう」
「あっ、はい」
こうしてオレは攫われた人たちを助け出した。
男は好きな人に思いを伝えた。
そして無事に結ばれた。
「ありがとうございます。これで無事に村に帰れます」
「気にするな、オレも今回の事で動き出す事が出来る。なかなかかっこ良かったぜ。これでお前は彼女だけの英雄だ。オレが認めてやるよ」
「ええ、僕は彼女を一生守り続けますよ」
「さて、オレはもう行くわ」
「お名前を聞いてもよろしいですか」
「オレか......オレの名は」
最近は滅多に名乗る事はなくなったその名を昔の様に自信を持って名乗り上げる。
「ナギ・スプリングフィールド。千の呪文の男で
アリカ・アナルキア・エンテオフュシアだけの英雄さ」
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