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第二十五話 共鳴
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効率のいいビット操作を最優先して動かしていたが故に相手に読まれてしまっていた。逆を言えば、彼女自身も相手の動きを読む……誘導できる」
「そして、その中にあの馬鹿者が飛び込んだというわけだな」
「先行入力……か」
あらかじめ、一夏の動きを制限・予測したうえでビットの動作を数秒先まで確定しておく。その後、ビットは自動的に事前の命令に従って行動するため、セシリアは自身の行動に移ることができる。
その結果が、疑似的なビットと本体の同時攻撃だった。
もちろん、実戦でそうそう都合よく相手が動くはずがない。相手が経験の浅い……いや、皆無な一夏であり、今までの布石があったからこその結果である。しかし、それを引き寄せたのは間違いなくセシリアであり、以前までの彼女には不可能だったことだ。
「お前ものんびりして居られないな? あいつらはすぐに追いついてくるぞ」
「そうだね、なんせ一人は千冬さんの弟さんだもんね」
満足そうにモニターを見つめる二人。若干のからかいを含めたような紫苑の言葉だが、特に他意はない純粋な褒め言葉だと千冬は素直に受け取った。
「それに彼女も、ね」
「あぁ、最初はどうなるかと思ったが今の状況ならうまいこと磨き合うだろう」
きっかけは紫苑だったが、試合中に二人が急激に成長できたのは互いを認め合うことが出来たからだ。
紫苑と楯無のように、まるで共鳴するかのようにお互いを高め合うその存在はやがてかけがえのないものとなるだろう。
だがこの時、紫苑も千冬も知る由もなかった。
この模擬戦が齎したものが、決してプラスの効果ばかりではないことを。
負の感情を抱き、劣等感を強め、薄暗い闇の中へと迷い込みそうな二人の少女がいたことを……。
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