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第二十五話 共鳴
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(だいぶ操作にも、あいつの攻撃にも慣れてきた。今なら……)
一夏も、先ほどの特攻が通じるとは思ってはいなかった。ただ、白式がどれだけ馴染んだかとセシリアの迎撃パターンの確認をしたに過ぎない。
あの場面、ビットの攻撃を掻い潜りながら隙をついて直線ラインで接近を試みた一夏に対して、セシリアは同じくビットで迎撃を試みた。本来であれば、この場面スターライトで攻撃すればそれだけで大ダメージを与えていたはず。しかし、しなかった……いや、できなかった。いくら成長しているとはいえ、ビットと本体の同時行動は一朝一夕で修得できるものではない。
『……先日のHRでの。いえ、これまでの暴言は全て撤回しますわ』
そんな中、セシリアから放たれた謝罪ともとれる言葉。一夏は……いや、彼だけでなくセシリアのことを知るほとんどの人間がその言葉に驚いた。
『……どうしたんだ、急に?』
一夏もセシリアの急変の意図がわからず訝しむ。彼も以前、セシリアの暴言に言い返す形でそれに近い言葉を発していた。それを考えると彼女の態度の変化は、今この場においては彼にとっても若干居心地が悪い。
『今までの自身の言動の愚かさ、せっかく西園寺さんに教えていただいたのに気付くことができず……ですがあなたのおかげで目が覚めました。わたくしは一操縦者として、あなたを認めます。改めて、セシリア・オルコットの全力と戦ってくださいまし!』
しかし、その言葉に一夏は再び発奮する。
諍いから始まったこの模擬戦は、今ここに初めてお互いを認めた者同士による戦いへと昇華したのだ。
『あぁ、俺も撤回する。……俺が無知だったせいで不快な思いをさせたことも謝る。そして……ありがとう、お前のおかげで俺は、俺がこれから強くなれることを知った』
そして、表情を引き締める。そこには先ほどまでのように、目の前の戦いにただ我武者羅だったときとは違い、その先を見据えた決意のようなものを宿していた。
『俺はこの力で家族を……千冬姉を守る!』
「ある意味、世界最強になるって宣言かな?」
「まったくあの馬鹿者は……、浮かれているな」
モニター上の一夏の善戦と宣言に対して、千冬は苦々しげな顔になる。
「ふふ、照れなくていいのに」
「ち、違う、よく見てみろ。左手を閉じたり開いたりしているだろう? 昔からその癖を出した後は碌なことにならん」
なるほど、と紫苑はモニターに目をやると確かに一夏の左手はその動作を繰り返していた。
「へぇ、さすが姉弟。よく見てるんだね」
「ま、まぁな。その際の後始末も大概私がやっていたんだ、気を付けもするさ」
紫苑の言葉に少し狼狽しながら答える千冬。
「あ、やっぱり照れて……ないね。うん、なんでもない」
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