神の鳴る町
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鶴姫と二人のお供は落雷の多い町へと向かっていた
その町には神が住むと言われていた
町の人々は神を崇め、信仰して過ごしていた
町並みは平屋が多くて目立った建物は一つしか存在しない
礼拝堂だ
それは家屋と比べ極端に高く聳え立っていた
そこには焦げ尽きながらも神を祈るように天を仰ぐ人の姿をしたものがあった
神を信じ救いを求めた人々は生きることではなく死を選んだのだ
この町は病んでいる
しかしどうしようもなかった
鶴姫はこの町の入り口に大きな鉄柱を建てた
これで礼拝堂で死ぬ人物は居なくなるだろう
しかし彼らは神を失い、何にも縋らずに生きる術を見つけない限り
救いは無いのだ
なんだか悲しい町だね
いえ、そんなことは無いわ
主を崇める事はとても素晴らしい事だもの
でもその結果はとっても残念ね
主はいつでも私達の幸福を祈っていらっしゃるのに
旅人の日記
この町の落雷の頻度は異常だ
正直三日も居れば黒焦げにならない確率のほうが低いだろう
借りた宿も所々焦げ付いたあとがある
町に住む住人の表情も暗い
避雷針でも設けなければこの町は絶えてしまうだろう
今日にでも町の家屋の少ない広場に設置して見よう
避雷針を設置するのを住人には反対された
まるで天を突くようにそびえる鉄の柱は神を怒らせるからと
この町の住人は落雷を神の所業と考えていた
私は考えた、この住人達を納得させる答えを
それならば、ここに処刑場を立て、罪人を焼く場所にしましょう
神の怒りを一箇所に絞るのです
町の住人はその答えに納得した
彼らも薄々気付いていたのだ
落雷が神の仕業でないことに
今日も落雷は罪人を焼いているのだろうか?
あの避雷針の設置以来被害は激減したが確実に死者は出ているだろう
そう思うと少し胸が苦しくなる
護れた命と奪った命の総量は一体どちらが多いのか?
それこそ神のみぞ知ることだろう
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