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IS<インフィニット・ストラトス> ―偽りの空―
Development
第二十四話 天照
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た。現在、白式の内部ではフォーマットとフィッティングのために膨大な演算処理が行われている。

「いいか、織斑。素人のお前が見て学べるものなど無いかもしれないが……それでもしっかり見て目に焼き付けておけ。西園寺と……お前がこれから戦うべきオルコットのことをな」

 千冬は、紫苑がセシリアと戦うのは白式が届き調整が終了するまでの時間稼ぎであると同時に、その試合を一夏に見せることで少しでもまともに戦えるように彼のレベルアップを図っていることを理解していた。
 実際に紫苑の動きは、最初の動きこそ規格外ではあったが、それ以降はまるで教材の映像のように無駄がなく、それでいて専用機の性能に頼るものではなく訓練機でも可能なレベルだった。

 ビットの攻撃の合間に放たれる、セシリアの手にあるスターライトのレーザー。全方向からの射撃に加えて強力な主砲の一撃によるコンビネーションは脅威だが、しかし当たらない。
 なぜなら、紫苑は彼女のコンビネーションの穴を既に見抜いていた。

 いかに全方向から放たれるとはいえ、ISに搭載された360度をサポートするハイパーセンサーが使いこなせればそれは死角にはなり得ない。加えて、セシリアはビット兵器の操作時には意識を集中せざるを得ず、操作中は他の動きが阻害される……つまり、スターライトとの同時攻撃が出来なかった。
 また、無意識のうちにビットの操作を簡略化するために常に最善手……その時点でもっとも効果的に思われる場所へ展開・攻撃する癖があり、故に紫苑にとってもどこに攻撃が来るかを読むのは容易だった。

 紫苑はかれこれ15分、ひたすら躱し続けた。
 時間を稼ぐため、一夏へ少しでも自身の戦いを見せるため……そして、セシリアに彼女自身の弱点を気付かせるため。

「そうか……あいつは常に効率のいい場所にしか攻撃していない、そしてあのビットみたいなのを操作している間は動けないのか……!」

(……ふん、自分で気づいたか。さすがは私の弟、といったところか? それとも……そう差し向けたお前を褒めるべきか、なぁ紫苑?)

 確かにこの瞬間に成長している弟を見て、千冬の表情も自然と柔らかくなる。しかしそれも一瞬で、すぐさまそれは鬼教官のものへと戻った。
 
「織斑、素人のお前に同じ動きができると思なよ? 自分ならどうするかを常に考えろ!」

 本来、教師がセシリアの次の対戦相手である一夏に助言するのはルール違反ではあるのだが、そこはやはり姉なのだろう。もともとこの試合自体がイレギュラーであるため自身でも甘いと思いと自覚しつつも、これくらいは許容範囲だろうし、弟が成長する姿はやはり嬉しいようだ。

 一方、この一週間彼と特訓を行っていた箒も一夏の横で試合を見ている。しかし、その表情は一夏と対照的に苦いものになっ
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