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第二十四話 天照
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見たのは白銀の機体が前傾に腕を大きく前に出し、同じく白く輝く1mほどの刀を突きつけている姿だった。
そして、セシリアも観客も理解する。試合開始と同時、自身が武装を展開しようとする一秒にも満たない間に、その距離を詰められてその剣先で突かれたのだと、ただの突きの衝撃で吹き飛ばされたのだと。
そして、その直前に放たれた言葉の意味を……。
もともとセシリアのブルー・ティアーズは中長距離レンジが得意であり、相手を近づけてはならない。また、模擬戦では試合開始前の武装の展開も認められている。本来であれば、最初から主武装を展開した状態で相手を近づけない戦いをしなければならないはずだ。
にも関わらず、セシリアは相手が無手であることを見たためか自身の武装展開を怠ったのだ。紫苑の武装展開速度はセシリアの数倍、さらにはどのようなモーション中からでも可能であり、セシリアの腕を横にかざすという隙の大きい呼び出し動作も災いした。こうなったのもある意味当然の結果と言える
『なん……ですの、その速度。それにその剣は……』
『今まで名前も分からず、機能もありませんでしたが。ようやく知ることができました……ネームレス改め『天叢雲剣』です』
今までただ大きいだけの刀だったそれは、一般的な日本刀ほどの長さに縮小したものの光り輝く刀身はさらに威圧感を増している。セシリアのシールドエネルギーの減り方から、劇的に威力が上がった訳ではない、しかしまだ何かがある、周りの人間にそう感じさせるだけの圧力がそこにはあった。
『そうですの……、確かにわたくしが知っている『あなた』ではないのですね。ですが!』
すぐさま手に持ったライフルを構え、放つ。光速のレーザーはすぐさま紫苑のいた位置へと到達するが、発射タイミングを察していた紫苑は既にその場から動いており、掠めるようにすぐ横を通り過ぎていく。
しかし、避けられることは承知していたセシリアは切り札を切る。ブルー・ティアーズの代名詞、機体と同じ名を冠した6機のビット兵器『ブルー・ティアーズ』。それらが紫苑の周囲を取り囲む。
『もう、油断などしません。わたくしの全力で……あなたを倒します!』
直後、4機のビットからはレーザーが、残りの2機からは誘導型のミサイルが放たれた。絶え間なく放たれる猛攻をしかし、紫苑は全て躱していく。無駄な動きがまるでなく、まるで周囲には当たっているのではないかと思えるほどの紙一重。しかし確実にそれらを紫苑は避けていき、ミサイルは手元の剣で着弾前に信管を切り落としていく。まるで円舞曲でも踊っているかのように軽やかに……。
「す、すげぇ」
織斑一夏は、ようやく届いた彼の専用機『白式』を身に纏い試合の模様を見てい
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