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『もしも門が1941年の大日本帝国に開いたら……』
未来編その三
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はまだしがみついていたが妻が「離れなさい」と言うと渋々と頷いて夫から離れた。
「穴掘るぞ。片瀬、シャベル持ってこい」
樹は運転席にいた片瀬に指示を出す。
そして六人は亡くなった夫のために墓を作ったのである。
「黙祷……」
樹の言葉に水野三曹達は手を合わせる。妻と娘は片膝を地面につけて夫の冥福を祈った。
「私もぉ祈っていいかしらぁ?」
その時、樹の後ろから声がした。樹が振り返るとそこには黒いゴスロリの服を着た少女がいた。右手には少女には重すぎるハルバートを持っている。
「ロ、ロゥリィ・マーキュリーッ!!」
「し、知っている人かヒルダ?(イヤッホーッ!! ロゥリィやものほんのロゥリィやッ!!)」
ヒルダが驚いたのを聞く樹であるが心の中では歓喜していたりする。
「私も急いだんだけどぉ間に合わないかと思ったわぁ。でもぉ」
ロゥリィはそう言って樹に視線を向けた。
「ん?」
ロゥリィが視線を向けた事に完全に予想外だったらしい樹が首を傾げる。
「貴方達のおかげねぇ」
ロゥリィはそう言った。
「摂津三尉、どうしますか?」
水野が聞いてきた。
「どうするって……」
樹は保護した妻と娘、そしてロゥリィを見る。
「……自分達はこれからコダ村から避難してくる難民と合流しますが一緒に行きますか?」
「はい。どのみちそれしか無いと思いますので」
妻は頷いた。
「いいわぁ。貴方達に少し興味があるしぃ」
ロゥリィは樹の服装を見ながらそう言った。
「それじゃあ行くか」
樹はそう言ってラヴに乗り込む。
「奥さんと娘さんは後ろに乗せた方が良いですね」
「あぁ。少々狭いけど我慢するしか無いよな」
水野三曹の言葉に樹は頷く。
「高機動車で来ればよかったなぁ」
片瀬三曹が呟く。
「仕方ない」
樹は苦笑する。水野三曹は妻と娘を後ろに乗せている。
二人は水野三曹に「これは動くの?」と訊ねていて水野三曹も「動きます」と教えている。
「ロゥリィさんの武器は立てとくしかないな」
ロゥリィのハルバートは車上から突き出すように固定された。
「ありがとうぉ」
「んでロゥリィさんの席は……」
樹は車内を見る。後ろの荷物を置く場所は妻と娘が座り、座席には水野とシリウスがいる。運転席になどもってのほかである。
「いい場所があるじゃなぁい」
「え? おわッ!?」
ロゥリィは何か思い付いたように言って樹を助手席に座らせて、ロゥリィ自身は樹の膝にちょこんと座ったのである。
「さ、流石にそれは教育上の問題が……(ロゥリィ……)」
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