第十章 イーヴァルディの勇者
第八話 エルフ
[13/14]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
ギーシュの説明を聞き、ルイズたちは同時に腹を押さえた。
「でも、どうしてそんなことできたのかしら」
「そりゃ簡単だよ。普通に殴りかかったら攻撃と判断されるだろうけど、手を当てるぐらいだったら攻撃と判断されないでしょ普通」
「あ、そっか」
背中にルイズが頷く気配を感じながら、ギーシュは真剣な目を視線の先の士郎とビダーシャルに向ける。傍目から見れば勝負が着いているように見えるが、相手はエルフ。油断は出来ない。そうギーシュが思った時、それに応えるかのように、地面に蹲っていたビダーシャルがゆっくりとした動きで立ち上がった。
「やはり、さっきの一撃で終わらせられなかったのはきつかったか」
拳を構える士郎の前で、ビダーシャルがゆっくりとした仕草で立ち上がる。動きは緩やかであったが、そこにダメージによるものは見えない。先程まで今にも死にそうな様子を見せていたにもかかわらず、今見える背中からはそんな様子は見られない。何らかの方法で回復したかと、士郎が想像した時、ビダーシャルが顔を士郎に向ける。
「楽に死ねると思うな」
「―――ッ!!」
静かなビダーシャルの声が耳に届くと、士郎の立つ足元の地面が揺れ動いた。
咄嗟に飛び離れた士郎を追うように、盛り上がった地面が槍のように伸び士郎に迫る。それは、空気を抉りながら士郎を追いかけ、その先端を刺すように士郎に襲いかかった。
「土? いや石かッ!」
身体を捻るようにして回避した士郎は、脇を通り過ぎた蛇に似た何かの正体を見破った。それは石で出来た蛇であった。胴回りは三メートル、全長は二十メートルは軽く超えている。
「我はこの場の全てと契約している。つまり、ここに存在する全ての精霊が貴様の敵だ。石の蛇に押しつぶされ死ね」
「断るッ!」
ビダーシャルの指が士郎を指し、石の蛇が士郎目掛け駆けた。空間を抉りながら進む石蛇を、士郎は横に飛び避ける。だが、まるで本物の蛇のように、石蛇は避けた士郎を追って進路を変え後を追う。
「ちぃッ!」
「我を無視しするとは余裕があるな」
大地を蹴り、上空に士郎は逃げる。足裏を削るように石蛇が士郎の下を通り過ぎていく。だが、安堵する間もなく、中空にいる士郎目掛け石の散弾が襲いかかる。
「しつ、こいッ!」
迫る石の散弾。
避けるには身体は未だ空中にあり、避けることは不可能。
だが、
「この程度ッ」
迫る石の散弾に向け、広げた両手を構える。
そして―――その身に襲いかかる石を、逸らす、反らす、外らす、そらす―――ッ!
広げた手の甲で迫る石を、誘導するするようにずらす。二本しかない筈の腕が、十数本に見えるほど素早く動かし、その身に
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ