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こんな私(俺)の物語
閑話 双紫異変T
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で、こんなにも全力疾走したことはなかったな。
不思議と走れた。スペックが生前だったら、俺はここまで走れなかったろうに。

タッタッタッタ、

ドドドドドドド、

一人と一匹の追いかけっこは続く。クッソー!誰か助けてくれませんかねえ!

「グオォォォオォ!」

ひどくスローモーションだった。あの腕が、俺を貫いて殺す。死ぬ?俺はこんなところで?イヤだ。絶対にイヤだ!

「うおぉぉぉぉぉ!!」

必死に力を込めて境界の開く。そうして出来たスキマに、振るわれた腕はすっぽり入った。今だ!

「ぶった切れぇぇぇぇ!」

ブツンッ

肉が切れた音。スキマが閉じて、そこに入っていたものを、概念が切断する。

「グオオオオオォォォォォォ・・・」


悲鳴をあげながら森に帰っていくバケモノ熊。なんとか退けたらしい。あんな熊がまだいたとはな・・・・・・。
ヤバッ、今になって震えが。俺は、神社に向かって震える足を動かした。

そして、俺はようやく、神社に着いた。あははは、体力が限界だ。俺は、賽銭箱にもたれ掛かる。

「こんなところで、終わるのかねえ」

苦笑する。ああ、死ぬんだ、俺。それなら、最後に良いことぐらいのしようかねえ。俺は財布を開けて、一枚しかない五百円玉をとりだし、賽銭箱に入れる。そして同時に気を失う。

最後に見たのは、なんだったかな・・・どこかで見た、特徴的な巫女服だった。


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俺は、十七年を思い浮かべていた。初めて転生したとき、初めてスキマに入ったとき、初めて幽々子にあったとき、籃に名前をつけたとき、人に対して能力を使ったとき、銀髪と死闘したとき、負けたとき、鍛えたとき。

ああ、これ、走馬灯なのかもな。俺は死ぬのか?
あははは、ざっけんな。
死んでたまるか。
なんで死ななきゃならねえんだよ。俺はまだまだいきたいんだ。目を開け、体を動かせ。

生きろ。


その一言を基点に、俺の意識は完全に覚醒した。

「うああ!」

変な声を上げながら、俺は起き上がった。周りを見渡す。・・・・・・何故か、建物の中にいるらしい。良く見たら、布団に寝ていたらしい。簡素な布団だが。適当な布を上に被せられただけの、簡素な布団だが。もしかして、ここの神社の人が助けてくれたのか?神頼みもしてみるもんだ。神様はいると思うし。

さてと、いつまでもここに留まる訳にもいかないし、行動しよう。でも、何も言わずに去るってのも失礼だ。
書き置きをしておこう。そう思って、周りを見渡すが、筆記用具がなかった。マジか
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