Development
第二十三話 Boy meets boy(?)
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「箒!」
目の前の出来事にも動揺していた僕に、さらに追い打ちをかけるように男性の声が道場に響き渡る。誰、と考えるまでもない。
……最悪だ、いつから見ていたのだろう。入り口からこちらに駆け言ってきた織斑君はそのまま箒さんのもとに走り寄る。その際に一瞬、目があったけど心なしか睨んでいるような印象だった。無理もない、か。目の前で幼馴染が怪我をして、間接的とはいえ少なからず僕にも責任はある。
できればもう少しまともな形で会いたかったのだけどこうなっては仕方がない。
「篠ノ之さん、手当をしましょう」
しかし、織斑君のこともだけどそれよりも今はまずは彼女の怪我をなんとかしなければ。
既に織斑君は箒さんの横にいて、彼女が起き上がるのを手伝っている。まだいまいち状況が掴めていないのか、困惑気味だ。僕はとりあえず彼の事は後回しにして、道場に備え付けられている応急箱を取ってきて彼女に近づく。
「……放っておいてください」
「そうはいきません、それにあなたは負けたんですから一つくらい言うことを聞いてください」
「な!?」
予想通りというか僕の手当ては拒もうとしたので嫌らしい言い方だけど勝者の言ということで半ば強引に顔をこちらに向けさせる。
「あ、おい!」
隣で織斑君が驚いたように何かを言うけど、今はそれどころではない。傷は浅いようだけど傷ついたのは顔で、下手に痕が残ろうものなら大変だ。
僕の言葉に箒さんが少し大人しくなった隙に、手早く処置を済ませる。
「はい、これで大丈夫です。ですが、傷が残ったら大変なので念のため保健室には行ってくださいね」
「……。あ、……う……ます」
ほとんど聞き取れないような大きさで何事か呟く箒さん。処置が終わったらすぐに顔をそらしてしまっているので、口元を見ることもできなかった。
でも、ここで聞き返すのも野暮だろう……だいたい想像できたしね。
「なぁ箒、なんで防具もなしに試合なんかしてたんだ? それに……」
織斑君がこちらをチラリと見やる。先ほどのような睨んだ視線ではないものの、どう接すればいいのか迷っているような表情だ。
「一夏には関係ない……」
僕が口を開こうとする前に、箒さんが突き放すように応える。
「だけど……」
「関係ない!」
「……はぁ、わかったよ」
頑なな箒さんの態度に、織斑君も渋々という形で引き下がる。でもその表情はやはり納得していない。
当然、その矛先はこちらにくるわけで……。
「えっと、あなたは……」
「1年4組の西園寺紫音です。ただ、試合の経緯については彼女が話さないなら私からも話すことはありません、ごめんなさい」
「あぁ、同じ一年だったのか。でも、う〜ん……」
彼はアテが
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