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魔法少女リリカルなのはA's The Awakening
第二十一話
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んはただの幻に過ぎねぇんだよ!」

 また篠宮は、直人が海鳴の高校に転校してきて初めてできた同世代かつ同性の友人であった。それなりにいたずら好きな悪ガキではあったが、爽やかなイメージのある好青年であった。人望も厚く、勉強もスポーツもそつなくこなせる優等生。しかし、今の彼にその面影は見られない。

「お前が……お前がそれを言うか!?あの事故で親を亡くしたお前が!」
「だからこそ思い知った!力なきものの願いなど、無駄でしかないこともな!」

 そんな彼が変わったのは、高校卒業とほぼ同時に発生した交通事故。無力を呪い、絶望しきり、たまたま出会った『暁の交響曲』の関係者を通して魔法に触れた。そのことから彼は力を求めた。病的なまでに。そして二年経ち、ジュエルシード事件で直人と激突したのだ。

「なんのための力なんやそれは!?お前はその力を手にして何がしたいんや!?」
「俺という存在は、もうあの日で死んだんだよ!今の俺は、『あのお方』のためだけにある!」
「……篠宮、テメェッ……テメェの血は何色だ!?」
「言いたいことはそれだけか?ならそろそろ終わらせようぜ!」

 剣戟の最中に聞いた彼の想いを聞き、完全に直人は言葉を失った。そして二人は間合いをとり直し、構えなおす。

「もうええわ、決着付けようや!」
「ああ。お前を殺して、俺は組織への義理を果たす!」

 二人の刃が互いの体を貫こうと接近する。しかし、そこに割り込むひとつの影があった。それは二つの刃を双方から受け、胸から背中から貫かれ吐血していた。

「しまった!?誰巻き込んだんや!」
「っ!?すまない、無事か!?」

 二人とも急速に思考が冷える。関係のない人間を死なせたとあっては間違いなく直人にとって精神的ショックが大きい。篠宮はおそらく自陣営の人間だと思ったのか、反射的に謝罪の言葉が飛び出した。彼らが刃をすぐに抜かないのは、手当てをする前に引き抜くと出血量が大幅に増えるからだ。しかし、その男は平然とした顔で二人の刃を力ずくで引き抜いた。吹き出す血を見ながらも、男は何を気にすることもなく、舌打ちをして呟いた。

「なんだ、ハズレか」
「アンタはっ……なんでこんなところにおるんや!」
「出動命令が下ったからに決まってんだろ。デカい魔力反応があったらしいからな。しかしこっちかと思ったから来てみたらいたのは小物二人。俺の勘も鈍ったかねぇ」

 割り込んだのはフレディ。彼だからこそ、適切な処置など必要なかった。貫かれたはずの体の傷がもうふさがり始めている。

「……貴様がフレディか。殺しても死なない管理局員というのは本当らしいな」
「ほう、局員じゃねぇのに知ってるとは珍しいなお前さん。誰から聞いた?」
「貴様と戦ったことがある人間だ、とだけ言っておこう…
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