九 黄塵万丈
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が晴れていく。砂埃で目に涙を滲ませながら、波風ナルは観覧席から身を乗り出した。
そこでは――――――。
リーが空中で身動きとれない状態になっていた。
リーの四肢が何かの糸に囚われている。
蜘蛛の糸のように彼を雁字搦めにしているソレは、刀の一種である鋼糸。細く長いその糸は武器の中で最も扱いが難しい。
両手の指に巻きつかせ、微かな指の動きで相手を切り裂ける。だが鋭過ぎて自らの指を切り落とし兼ねない諸刃の剣でもある。
あまりに鋭利なその鋼糸に一度でも絡まれると、並みの者ならばあっという間に切り刻まれている。
リーが動きを封じられるだけに止まっているのは、ひとえに八門遁甲のおかげである。
盛り上がった筋肉が鋼糸の切断を食い止めているのだ。
何時の間にか闘技場には鋼糸が蜘蛛の巣の如く張り巡らされていた。
リーが第四門『傷門』を開いた時点で自らの気配を薄くしておいたナルト。まるでその場に誰もいないかのように錯覚させる事が可能なほど彼の気配は元々希薄である。
そして更に気配を完全に消す事で、リーはナルトがどこにいるのかを認識出来なくなる。
ナルトは気配を消した後リーがどのような行動をとるかを予測した。
そして周囲に鋼糸を張りつつ、リーの行動を利用する。
案の定ナルトの姿を焙り出すために彼は床や壁を砕いた。その際に朦々と巻き上がった埃はナルトが張った鋼糸の存在を隠し、リー含む周囲の者の目を誤魔化す。
そしてナルトが再び声を掛ける事でリーを誘き寄せ、そのまま鋼糸で捕らえる。いわばリーはナルトが張った罠に見事に引っ掛かってしまったのである。
「…もうこれ以上は八門遁甲を開かないほうがいい」
糸で囚われ、宙に浮いているリーを見上げながらナルトが淡々と声を掛ける。だがリーは諦めない。なんとか鋼糸の包囲網から逃れようと、彼は更に体内門を抉じ開けた。
(第五…『杜門』――――開!!)
チャクラが爆発する。手足に浮き出た筋がブチリと千切れる。沸騰する血液に身体中の骨が軋んだ。
「ハアアアァアアアアッッッッ!!!!」
無理矢理己の身を纏う鋼糸を引き千切る。そしてそのままナルト目掛けてリーは突っ込んだ。
堰を切ったように再び溢れ出すチャクラと肉体の限界を超える力に、リーの身体がついていけない。突っ込む際の踏み込みですら、あまりの速度にリーの足の骨が粉々に砕かれる。
「これで、終わりです!!」
「…―――ああ。最後だ」
リーの雄叫びにナルトは静かに返した。そしてこちらに驚異的な速度で疾走してくるリーに向かって彼は瞬時に印を結ぶ。
「【燎原火―――炎上】」
刹那、リーの全身を炎が覆い尽くした。
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