九 黄塵万丈
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の目にも捉えられなかった。
次の瞬間ナルトの真下に滑り込んだリーが空へ突き上げるような蹴りを放つ。その凄まじい蹴りをまともに受けたナルトの身体が宙に浮いた。
サスケが使った技の本家たる【影舞踊】でナルトの背後に回ったリーは、両腕の包帯を幾重にも彼の身体に絡ませる。こうすることで動きを封じ、受け身を取れない状態にするのだ。
「【表蓮華】…っ!!」
更に逆さ状態のまま回転し、凄まじい勢いで闘技場床へ高速落下。
落ちた先では轟音と共に砂埃が立ち上る。衝撃により、重し以上に粉々に砕かれる床。
包帯で縛られたナルトは脳天から床に叩きつけられた。
ナルトが落下した床がガララ…と崩れる。荒い息を吐きながらも直前に脱したリーが闘技場床に降り立った。
「やった―――!!リーさんが勝った――!!」
「…し…死んじゃったんだってば…?」
歓喜の声を上げるサクラ。反して一抹の懸念を抱くナル。
一方の君麻呂・多由也は、何事も無く涼しげな顔でその惨状を眺めている。
ナルトの様子を見るためハヤテがゆっくり彼に近寄った。と、その時。
ぼうんっという白煙と共に、ナルトの姿は掻き消えた。
「な……!?」
「…これが全力か?」
トッと天井から軽やかに降り立ったナルトが無傷で問い掛ける。同時に軽い破裂音と共に天井に突き刺さったクナイが掻き消えた。
(…クナイに変化していたのかっ)
試合を観戦していた者は誰もがそう判断する。
しかしながらそれは間違いであり、リーが【表蓮華】を使うまではナルト本人だったのだ。リーが円を描くように高速移動し始めた際に影分身と入れ替わり、一瞬で天井に突き刺したクナイに書かれた術式に飛ぶ。術式が巻かれたソレを懐に納め、クナイに変化。この術をよく知るカカシがいないからこそ行ったのだ。現に上忍はおろか火影でさえもクナイに変化してずっと様子を窺っていたのだと勘違いしている。
もし最初から影分身だったのならばリーの連続攻撃を一発でも食らえば消える。だからあえてナルトはリーが【表蓮華】を使うギリギリまで己自身で闘ったのである。
リー含めその場の者は皆リーの勝利を確信していたため、ナルトの無事な姿に驚きを隠せない。静寂に包まれた闘技場ではリーの荒い息と誰かがゴクリと鳴らした咽喉の音しか聞こえなかった。
最小限の動きで回避し疲労が少ないナルトに比べ、疲労と激痛によりガクリと膝をついているリー。【表蓮華】を使ったために身体の節々が悲鳴を上げているのだ。
ナルトは汗ひとつ掻かず涼しげな顔でリーを見つめている。今がチャンスだというのに彼は何もし掛けてこない。まるで何かを待っているようだ。リーが次に起こす行動に期待してい
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