九 黄塵万丈
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です?」
対戦相手――うずまきナルトは、何故か両眼を閉ざしていた。
「諦めたんですか?なら棄権してください」
すっと右手の甲を掲げてそう言うリーに、ナルトは双眸を閉じたまま口元に弧を描く。
それを挑発と受け取ったリーは、容赦なく彼に上段蹴りを放つ。それをナルトは首を少し動かして避けた。疑問を抱きながらも高速で追撃するリー。だがナルトはそれを最小限の動きで全てかわしていく。
流石におかしいと感じたリーがナルトから距離をとる。見れば、ナルトの立ち位置は先ほどからほとんど変わっていない。ただ静かに佇んでいるだけだ。
(僕の動きを把握している…!?そんな馬鹿な…っ)
内心リーは狼狽する。彼の動きは下忍には到底見えない速さである。現に観覧席ほとんどの下忍の視界に映っているのは、ナルトの周囲で舞っている砂塵のみ。
見えているのは上忍達ぐらいであろう。それなのにナルトはリーの高速攻撃を尽く回避しているのだ。
「す、凄い…っ!!」
手摺を掴んで前屈みになったサクラが驚嘆の声を上げる。彼女にはリーの動きを目で追う事が出来ない。だからリーがナルトを追い詰めているように見えるのだ。
だがガイは自身の弟子の動きではなく、ナルトの動きに目を見張る。
(リーの速さは既に中忍以上だ。それを遙かに凌駕するスピード…なぜまだ下忍のままなんだ?相手の子の動きはもはや上忍と言っても差し支えない)
ガイ同様他の上忍達も、リーではなくナルトを注視していた。
試合に向けられる視線のほとんどは驚異、残りは絶対的信頼を孕んでいる。信頼の目で観戦しているのはナルトの同班――君麻呂と多由也。
「ナルトの奴、音でリーって野郎の動きを拾ってやがるな」
「ああ。いくら体術に秀でていてもあの程度ならナルト様には到底勝てない」
ナルトが負けるはずがないと信じ切っている二人は、眼下の試合に対してひとつも取り乱していなかった。
高速移動、鋭い蹴り、急所を狙った突き。そのどれもが速く、鋭く、重い。
鍛え抜かれたそれらの攻撃を息をもつかせぬ高速で放つリー。だがその連撃を、ナルトはかわし、いなし、受け止める。それも眼を瞑った状態でだ。多由也の言う通り、風を切る音を聞いてリーの居場所を把握しているのである。
どれだけ攻撃しても当たらない彼に焦れたのか、リーの瞳にある決意が生まれる。
(…こうなったら【蓮華】だ!!)
両腕に巻いた包帯をしゅるりと解いた彼は、ナルトを中心に疾走し始めた。高速で移動する彼の姿は最早見えず、傍目には砂塵が円を描いているようにしか見えない。
台風の目状態のナルトが瞬時に印を結ぶ。しかしリーの動きに注目していたためその所作は誰
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