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渦巻く滄海 紅き空 【上】
八 写輪眼
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ケの耳に、同班である波風ナルの声援が入ってきた。

「サスケ―――!!お前はそれでもうちはサスケかぁ!!!!」

その声にふっとナルのほうを見たサスケは、何かを思い付いたように口元に弧を描く。そして再び突っ込んで来たヨロイの真下に滑り込んだ彼は、蹴りで相手を空へ突き上げた。
凄まじい脚力で蹴り飛ばされたヨロイの身体が宙に浮く。その背後に張り付くように、サスケもまた跳躍する。
これは相手を木の葉に見立てて追尾する体術であり、木ノ葉の里一番の体術の熟練者(エキスパート)――マイト・ガイ及びその弟子ロック・リーがよく使う【影舞踊】である。ナルの隣にいたリーの姿を見て、以前我が身で受けた彼の技をサスケは思い出したのだ。
だがただの【影舞踊】ではない。自分なりのアレンジをつけ加え、更に攻撃力を増そうと考えるサスケ。ヨロイの背中を指で押さえ、その攻撃を繰り出そうとする。

しかし。

「ガハッ!!」
首筋の呪印がここぞとばかりに反応し、彼の身体は強張った。呪印から伸びる斑模様が徐々に増えてくる。
(チクショウ…!いちいち反応しやがって…っ)
苦悶の表情を浮かべるサスケ。ザク達と対峙した時同様、斑模様が蛇のように彼の身体に絡みついていく。


呪印による模様は観覧席からもよく見える。呪印に苦しむサスケの姿に、多由也が咎めるような視線をナルトに向けた。けれどナルトは、ただじっとサスケの動向を見守っている。
音の額当てをした男――大蛇丸が、にやりとほくそ笑んだ。


身体を蝕む呪印。その痛みに耐えているサスケの脳裏に、同班たるナルとサクラの言葉が浮かび上がる。
(こんなものに…!呑み込まれてたまるかッ!!)
カッと双眸を見開き、心底から呪印に抗う。彼の叫びが届いたのか、呪印は波のように引いていった。


「アイツ…ッ!気力で呪印を抑えやがった…!!」
観覧席の手摺を掴み、前屈みの状態で観戦していた多由也が驚愕する。彼女の隣で同じく観戦していたナルトは、表情ひとつ変えずに大蛇丸をちらりと横目で見た。
ナルトに見られているなど気づかず、大蛇丸はサスケが呪印を抑えたことに対し、若干眉を顰めている。



「いくぞッ!!」

呪印が引き、調子を取り戻したサスケが攻撃を開始する。
相手の背後に潜んだまま、鋭い蹴りを放つサスケ。死角を突いたその蹴りは、角度を変えニ撃、三撃と連続でヨロイの身体に襲い掛かる。流れるような動きで蹴り続けていたサスケは、蹴りの衝撃と重力に従い落下していくヨロイ目掛けて、床に叩きつけるような蹴りを止めとばかりに放った。




「……第一回戦、勝者―――うちはサスケ。予選通過です」
サスケを勝者と判定したハヤテの声が闘技場に響き渡る。どよめく会場の中、君麻呂が冷静に口を開いた。


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