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八条学園怪異譚
第五十一話 オペラ座の怪人その二
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「八条グループのどなたかの幽霊とか自殺した大学の演劇部の誰かとか」
「じゃあ幽霊なの?」
「オペラ座の怪人って」
「だから色々言われてるの」
 演劇部の女の子は真相はわからないと話す。
「残念だけれどね」
「じゃあ幽霊さんじゃなくて妖怪さんって可能性もあるのね」
「その可能性も」
 二人はクラスメイトの話を聞いてこう考えた。
「そうなのね」
「真相がわからないってことは」
「そうね、とにかく出るって噂があるから」
 このことを二人に話すのだった。
「真相は本当に不明だから」
「わかったわ、じゃあ劇場ね」
「そこのロイヤルボックスね」
「大体劇場って色々あるけれどね」
 こうした怪談話は付きものだというのだ、演劇というものが人間の心を描くものだからであろうか。
「あそこにもあるのよ」
「うちの学園あちこちにそうした話があるけれど」
「あそこもなのね」
 二人はクラスメイトの娘に泉を探していることは内緒にして頷いた。
「有り難うね、色々教えてくれて」
「いい勉強になったわ」
「いいのよ、お礼はね」
 それは構わないとだ、クラスメイトの娘は二人の言葉に笑って返した。
「彼氏の紹介でいいから」
「いや、私達もそうした人いないから」
「そっちのお礼は出来ないわよ」
「やれやれね、じゃあいいわ」
 元々冗談だった様だ、クラスメイトの娘もこれで止まった。
「それでね」
「というかあんたも彼氏いないの」
「そうだったのね」
「顔結構いいのに」
「性格だって」
「甘いわね、商業科はね」
 どういった場所かとだ、クラスメイトの娘はこのことについては真剣そのものの面持ちで語るのだった。商業科のことを。
「女子にとっては修羅の国よ」
「あの生存率千分の一っていう」
「あの世界なのね」
「そうよ、男子にとっては地上の楽園でね」
 あまりいいとは言えない例えではあるがそれでも言うのだった。
「女子にとってはまさに修羅の国よ」
「彼氏争奪戦が凄いっていうのね」
「相手が少ないから」
「だから私もね」
 二人にやや怒った目で話していく。
「いないのよ」
「ううん、そうなのね」
「商業科って本当にそうした場所なのね」
「というかあんた達もよ」
 他人事ではないというのだ、決して。
「商業科でしょ」
「それはそうだけれど」
「何かね」
「顔や性格に安心しないの」
 商業科においてはというのだ。
「いいわね」
「彼氏をゲットするにはなの」
「修羅にならないと駄目なのね」
「羅将になりなさい」
 ただの修羅ではなくそれになれというのだ。
「いいわね」
「いや、羅将って」
「幾ら何でも」
「それ位でないとね」
 駄目だとだ、二人に言い続ける彼女だった。
「駄目よ」

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