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渦巻く滄海 紅き空 【上】
七 陰謀詭計
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は君麻呂がナルトに向ける視線と何等変わらなかった。おそらく己と同じくらい、彼はナルトを心底敬愛し崇めている。
いつか己の立ち位置を白にとられるのではないかと、ナルトが白と共に任務へ赴くたび君麻呂は懸念を抱いていた。




「なにやってんだ、テメーはよ」
突然頭上から声を掛けられた君麻呂は回想を止める。追憶にふけていた彼を現実に引き戻した声の持ち主は、苦々しい顔つきで君麻呂の前に現れた。
「ぼーとしやがって。試験中だって解ってんのか、この馬鹿」
ぺっと今にも唾を吐き掛けるような物言いをする少女―多由也。その物言いに、一気に不快な気分となった君麻呂は彼女を冷やかな目で見た。
「君が遅すぎるからだろう。おかげで暇だったよ。なかなか来ないからどこでのたれ死んでるのかと…」
「ふざけんなあ!ウチはナルトの言う通りにしてただけだ!!そっちこそサボってたんじゃね―のか!?」
「僕がナルト様の命令を蔑ろにするわけないだろう。あと耳元でギャーギャー叫ばないでくれないか。鳥の金切り声と間違えて猛獣が寄ってきそうだ」
「こ、このクソヤロー!!ギッタギッタに痛めつけてやんぞ、ああ!?」
「同意見だ。君とは一度決着をつけないといけないようだ」
一触即発。塔の前で、仲間であるはずの二人は対峙する。互いに睨み合い、彼らは今にも攻撃の構えをとろうとした。
「遅くなってすまない………どうした?」
その時二人の間に第三者の声が割って入ってきた。途端、その場の緊迫した空気が一瞬で蹴散らされる。
「ナルト!」 「ナルト様!」
先ほどの顰め面はどこへ行ったのか。多由也と君麻呂は朗らかな表情で、突然現れた少年―ナルトに近づいた。
「今まで何やってたんだよ」
だがすぐ怪訝な顔をしてナルトに尋ねる多由也。その問いにナルトは軽く肩を竦める。
「いや、うちはサスケが無事試験を突破できるよう助力してくれってカブトに頼んできただけだよ。巻物目当てに塔の傍で待ち伏せする者がいるだろうから、念のためにな」
「大蛇丸様の器候補ですか…。確かに第二試験くらいは受かってもらわないと困りますからね」
ナルトの答えに君麻呂が相槌を打った。
「君麻呂は?砂の忍びの見張り、頼んでたと思うけど」
「彼らは一日目の16時9分にこの塔に着きましたよ。おかげで今まで暇でした」
「ふ〜ん、第二試験開始から97分後か…。木ノ葉の忍びよりはやるじゃねーか」
少々感心したように呟く多由也の隣で、ナルトは君麻呂に謝礼の言葉を述べる。
「そうか…。ありがとう、君麻呂。それと、次の試験からの事だが…」
「重々承知しています」
ナルトの命令が生き甲斐だと言うように、満面に喜悦の色を浮かべる君麻呂。二人の会話を面白くなさそうに睨みつけていた多由也は、ナルトに声を掛けられた途端得意気な表情を浮か
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