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渦巻く滄海 紅き空 【上】
七 陰謀詭計
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第二試験開始から四日目の朝。
試験の終着点である塔の傍で一人ぽつんと佇んでいた少年は、密林の枝葉の間から洩れてくる陽光に目を細めた。

少年――君麻呂は、自身が敬愛するナルトの「我愛羅を見張れ」という言い付けに従って行動していた。しかしながらその我愛羅は、試験開始後たった97分で塔に辿り着いてしまったため、それからずっと塔の傍で同班の二人を待っているのである。
木漏れ日の下で、彼は自然と自分にとっての太陽を思い浮かべた。
(ナルト様はどうしているだろう…)
彼は心底崇拝するうずまきナルトに思いを馳せ、過去の記憶へ意識を飛ばした。


君麻呂の出生は、血継限界『屍骨脈』という特殊な能力をもつかぐや一族。
その一族は君麻呂が幼い頃、霧隠れの里に戦いを挑んで滅んでしまった。
かぐや一族最後の一人となった君麻呂。そんな彼を拾ったのは、他でもないうずまきナルトだった。
身寄りの無い君麻呂を兄弟、または家族のように扱ったナルトを、彼は自然と神の如く崇めるようになった。
ナルト本人は、いつも自分は神ではないと苦笑する。神なんていない、といっそ残酷な言葉で君麻呂を諭した。
だが君麻呂はナルトと出会った頃からずっと彼は神だと信じて疑わなかった。
なぜなら君麻呂より年下でありながら、ナルトは博識で強かった。そんな彼を人と結び付ける事が君麻呂にはどうしても出来なかったのだ。

ある程度の力を身につけた君麻呂をナルトは音の里長―大蛇丸に預けた。
それから君麻呂は、ナルト以外の子ども…多由也達、音の四人衆といった同年代の人間と接した。しかし君麻呂はナルトさえいれば他は何もいらなかった。
勿論大蛇丸の事は尊敬している。音の四人衆も実力は認めている。
けれど君麻呂の心は常に、うずまきナルトの存在が占めていた。


何か気配を感じたので君麻呂はふっとそちらに視線を向ける。すると、目の前を白い蝶が横切っていった。その白に、君麻呂の脳内でナルトとは正反対の位置にいる人物の姿が思い出される。心酔しているナルトとは違い嫌悪しているその存在。
ナルトとの思い出に水を差され、君麻呂は苦々しく唇を噛んだ。


君麻呂には決して相容れぬ存在がいる。
それは今の蝶と同じ色の名を持つ――白という少年だ。
かぐや一族とはまた違う血継限界をもつ彼は、己同様ナルトが拾った人間だった。
許せなかった。己だけではなく、彼の庇護を受けた存在に。似たような境遇というのも酷く癪に触った。
向こうも同じ感情を抱いたらしく、顔を合わせるたびに射殺すような強い眼光を向けてくる。もっとも彼はすぐナルトと同じ抜け忍の再不斬という男に預けられた。聞くところによると再不斬もまた、危ないところをナルトに救われたという。
再不斬はまだいい。問題は白のほうだ。ナルトに向ける白の視線
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