四 暮色蒼然
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「…今更…何しに来た…ッ!まさか…、火影様を…暗殺でもしに来たの…っ!?」
痛みに耐えながらも途切れ途切れに問うアンコを、見下しながら大蛇丸は笑った。
「いーやいや!…里の優秀そうなのにツバつけとこうと思ってね…」
冗談めかしたその言葉には、部下集めの目的が感じられる。しかし、それだけのためにわざわざ抜け忍である彼が帰ってくるだろうか…。
アンコは大蛇丸の真の目的を聞き出そうとしたが、首筋に浮かび上がった痣の痛みに耐えられず、木の幹に爪を立てた。
「ぐっ…う…ッ!」
「…さっき、ソレと同じ呪印をプレゼントしてきたところなのよ」
欲しい子がいてね、とアンコの首筋の痣を嘗めるように見ながら大蛇丸は語る。
「くっ、勝手ね…。まず死ぬわよ、その子…」
「生き残るのは十に一つの確率だけど、お前と同じで死なないほうかもしれないしね…」
「えらく…気に入ってるのね…その子…」
息も絶え絶えに紡いだアンコの言葉を、大蛇丸は愉快そうに一笑した。
「…本当は、その子よりもっと欲しい子がいるんだけどね…」
≪それは俺のことか?≫
突如として現れた人物に、大蛇丸は表情を強張らせた。
「い、いつからそこに…ッ?」
≪最初からだ≫
鈴の鳴るような澄んだ声が大蛇丸に返事を返す。
声は特徴の一つのはずなのに、男とも女とも、または子どもの声にもとれる。俺という一人称から男かと推測するが、己をオレと言う女もいるため当てにならない。
アンコは大蛇丸をも狼狽えさせる声の持ち主の姿を見ようとするが、なぜか第三者の声が割り込んだ瞬間に体が硬直しうつ伏せになってしまった。
呪印の痛みに加え、大蛇丸以上の威圧感がその場に張り詰めている。その重みに彼女の体は耐えきれず、指一本動かすことすら叶わなかった。
「まさか…あなたがこの中忍試験に来るなんてねえ…」
≪別に俺は賛成も反対もしていない。あいつらには荷が重すぎると思っただけだ≫
「まあねえ…。でも冗談抜きで、手伝ってくれることに変わりはないのよね?」
≪今回だけな≫
「…私としては、一生傍で仕えてほしいんだけどねえ」
≪それこそ冗談だ。俺はどこにも属さない。初めからそう伝えたはずだが?≫
「それでも…私は君が欲しい…」
≪返り討ちにされたくなかったら止めとけ≫
アンコはうつ伏せの状態で、二人の会話を一字一句逃がさぬように聞き入っていた。
大蛇丸の誘いを一蹴したことから、彼と対話している者は大蛇丸以上の実力を持っていることが窺える。なぜなら、大蛇丸は心底欲しいモノがあれば実力行使で奪う者。それを彼の元弟子だったアンコは嫌というほど知っている。
大蛇丸が実力行使でも手に入れられない理由、つまりそれは彼が敵わないということになる。
彼女は冷や汗をか
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